乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

自己紹介、少し詳しく

生い立ち

1971年産まれ、札幌育ち

ブログスタート時で45歳です。

現在は北海道の江別市にある酪農学園大学で乳牛の第一胃(ルーメン)に関する栄養学や乳牛の飼養管理システムについての研究をしています。実務も兼ねて、乳牛の最適な飼料設計に関する研究にも取り組んでいます。


実家はラーメン屋でした。子どもの頃は、お客に頭を下げてばかりいる両親が好きではありませんでした。ラーメン屋ということで見下される場面も多かったですし。特に、子どもたちは残酷でしたね(^^;)

ですが、大人になるにつれ、1杯数百円のラーメンを数十年にわたって売り続けて、周りではつぶれてしまう店が多い中、堅実に経営してきた両親を尊敬するようになりました。

商売人の両親の背中をみてきたおかげで、人付き合い、お金のありがたみや使い方、謙虚さ、気配り、根気強さ、我慢強さ、感謝することの大切さ、といったことを学ぶことができました。

蛇足ですが、嫌な客をたくさんみてきたので、私は飲食店で注文するときは必ず「○○をください」「○○をお願いします」と言います。

 

学生時代

大学は一浪して、地元の大学に入学します。

高校、大学と成績は目も当てられないほどで、背伸びして上の学校に入ったことで苦労の連続でした。しかし、今となってはその時の苦労や底辺で低迷する経験があって良かったと心底思っています。「若いうちの苦労は買ってでもしなさい」は本当ですね。

学生時代は畜産学科で学部、修士課程と農業、畜産について学びました。札幌出身で、全く農業・畜産のことを知らなかったのに、いつのまにか教える立場になろうとは・・・。タイムマシンがあってあの頃の自分に会いに行けたら教えてやりたいです。なまらびっくりするだろうし、信じてもらえないかもしれません。

当時の研究対象はめん羊のルーメンと採食反芻行動。研究室在籍時代に研究生活や世の中のイロハを学びました。ここでの厳しい教えがあったおかげで、ビジネスパーソンとしての基礎や酒席の大切さを知ることができました。現在も研究でお世話になっている師匠と出会ったのも研究室です。学生時代のことはまたどこかで書こうと思います。

 

酪農家での1年

大学卒業後は、北海道の酪農家で実習生として1年間勤務。ひねくれた青春時代を送っていたので、就活をしなかったのです。今から思えば青くさて恥ずかし過ぎです。。。

研究室の恩師やOBとのご縁もあって、極めて優秀かつユニークな酪農家さんにお世話になることが決まりました。偶然や人のご縁が導いてくれた奇蹟のような出会いでした。多くの人に活かされてきた自分を思い、感謝の気持ちが湧いてきます。

独自の視点をもつ親方との出会いにより農作業のみならず酪農経営の裏表や人生について学び、その後の研究に大きな影響を受けました。実習生時代の美しく、つらく、恥ずかしい経験、こちらも項を改めて触れたいと思います。

 

大学教員として

1998年4月、酪農学園大学附属農場に助手として採用になりました。教員生活が附属農場付きであったことは、今の自分にとってとても大きな幸運でした。頼もしい先輩教員や技師のみなさんに囲まれて、まだ今ほど逼迫していなかった時代背景も相まって、伸び伸びと教員生活の序盤を過ごすことができました。とても良い意味でのゆとりがある時代でした。

その後、昇格、所属替えなどがあり、現在は同大学農食環境学群 循環農学類 ルミノロジー研究室 教授というポジションです。

 

2000年に旧式の繋ぎ飼い牛舎からフリーストール牛舎(インテリジェント牛舎)が完成したことも、自分にとってはこれ以上ない経験でした。乳牛の管理を繋ぎシステムからフリーストールシステムへ移行することや搾乳ロボットの導入、それらの飼養管理を任されたことは、滅多なことでは経験できない財産です。今でこそTMR飼料設計について、ある程度自信を持ってお話しできますが、ここまで来るには本当につらい経験をしてきました。

 

研究テーマ

大学教員のスタートが附属農場研究室であったことから、本職であるルーメンの栄養生理学に加えて酪農生産システムについても研究対象となっています。ここに、酪農家時代の”農家目線”をスパイスした現場寄りの研究が得意です。

ルーメン内容物性状と採食反芻行動の関連、ルーメンマットの形成とその機能、TMR飼料設計の最適化、周産期の栄養管理、牛群の社会行動やストレス、粗飼料調製や新規飼料の評価など、がここ最近の研究テーマです。牛の個体レベルから、牛群管理・酪農生産システムまで、その時の学生の関心によって研究の焦点が変化します。

 

生きがいや趣味など

妻と子どもが大好きです。

妻との晩酌が日課で、仕事のスイッチオフの合図になります。これ以降は、絶対仕事しません。二人でアーダコーダ言いながらワインとチーズを楽しみます。子どもも大好きで、子どもたちと遊ぶことも生きがいです。

家族との時間は最も大切な時間です。

家族以外の楽しみは、日本ハムファイターズ、中でも栗山監督と大谷選手の大ファンです。人と違ったことをやるのが大好きな自分ですので、大谷選手の二刀流は入団前から大賛成でした。コンサドーレ札幌、読書、AMラジオ、全国に散らばる研究室卒業生を訪ねること、家庭菜園、が楽しみです。