乳牛と酪農を科学する

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乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

国産牛肉?和牛?輸入牛肉?

 

おばんです。

 

先日、十勝若牛のローストビーフについて触れました。

 

dairycow2017.hatenablog.com

 

たまたま牛肉つながりで、昨日の日本農業新聞の1面にこんな記事が出ていました。

 

ホル雄肉手堅い需要(日本農業新聞20170301)

 

輸入牛肉と競合するなど減産が心配される乳用種去勢牛(ホル雄)について、主要スーパーや生協の7割が売り場を維持する意向であることが、日本農業新聞の調べで分かった。」

 

いろんなウシが出てきますので整理します。

酪農場では乳牛(一般には白黒のホルスタイン種)はメス子牛が産まれた場合はその農場で育て、成牛になり子を産み母牛となった時点で搾乳を開始します。

一方、オス子牛が産まれた場合は直近の家畜市場に出荷します。市場では、ホルスタインのオス子牛を専門で肥育する(肉用に発育させる)肉牛農家が買いとります。多くの場合、去勢され、肉牛として20ヵ月程度肥育され、牛肉として出荷されます。

これがホル雄肥育です。牛肉用に育てられるけど、品種でいえばホルスタイン(乳用種)というややこしいウシです。

 

日本の肉牛は他に、和牛(多いのは黒毛和牛)、交雑種(F1と呼びます。ホルスタインの母牛に和牛精液を交配して産まれた牛)、外国種(いろいろな品種がありますが、日本で育てられた外国種のことです)があります。F1は見た目は和牛と変わらず、わずかな部分を除きほとんど全身真っ黒です。

 

私たちが霜降りステーキとかすき焼きといって食べる高級肉は、多くの場合黒毛和牛の牛肉になります。黒くて角の生えたウシです。よくグルメ番組や雑誌で紹介される脂肪と赤身が混ざり合った、柔らかい牛肉です。

 

この他に、スーパーで目にするのは「国産牛」ではないでしょうか。

国産牛は、上で述べた和牛以外のすべてのウシたちの肉が含まれます。

F1霜降りが入るので中級レベルの牛肉に使われ、ホル雄外国種霜降り肉になりにくいので赤身肉として国産牛の中では価格帯もお買い得な牛肉として流通します。

 

この他に、身近なところでは輸入牛肉があります。よく目にするのはオーストラリア産かアメリカ産ではないでしょうか。

 

赤身牛肉は輸入牛肉とホル雄牛肉が競合する!

 

ここで、農業新聞が指摘する輸入牛肉とホル雄肉の競合が生じます。

価格:輸入牛肉<ホル雄牛肉<和牛

安心感:和牛≓ホル雄牛肉>輸入牛肉

輸入牛肉は価格は安いけど、国産の強みからホル雄牛肉は安心感が強み。

また、ホル雄牛肉は、和牛よりは値頃感がある。

こういった理由から、小売業界の多くはホル雄牛肉の売り場を狭めるつもりがないというアンケート結果が出たそうです。

 

日本農業新聞の調査で興味深かったのが、国産牛肉の取扱割合が

生協:和牛27%:交雑種(F1)4%:ホル雄69%

スーパー:和牛43%:交雑種(F1)42%:ホル雄14%

と大きな違いがあった点です。

 

「生協組合員は安全・安心への関心が高く、日常的に買い求めやすい牛肉として、乳用種の需要が大きいとみられる。」(同新聞)

私の近所には民間スーパーと生協の2店舗がありますが、客層や国産品の割合などは違うように感じていました。

こうしてみると、実際にラインナップが違うのですね。

 

ちなみに、私の住む北海道では牛肉文化圏ではないので、売り場の様子も変わってくると思います。

学生時代に本州出身の友人が作ってくれた「肉じゃが」の肉が牛肉だったのには度肝を抜かれました。彼らの作るカレーも普通に牛肉でしたし、「いやあ、内地の人は贅沢なもんだなあ」とびっくりした記憶が鮮明に残っています(^^ )

 

妻もそろって道産子の我が家、本州の家庭と比べて牛肉の頻度は低いのでしょうね。