乳牛と酪農を科学する

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乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

乳牛のエサ設計:タンパク質の4

WBC 日本vsオランダ

昨日の中田はよう打った~

宮西のピンチを救った増井の日ハムリレーもすごかった!

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今日からバンコク出張のため、成田空港に来ました。

接続便の関係で空き時間が豊富にあるので、仕事に励んでいます。職場にいるとヒトとの対応や雑事で一つの仕事に集中できません。そういう意味では、こういう移動の時間帯は貴重な仕事集中タイムになります。

 

今朝の北海道はマイナス10°C、バンコクは36°C、気温差46°C!

 

家庭の豆情報

 

昨日、妻のアイデアで驚いたことがあるので紹介します。

最近、我が家のテーブルふきがさらしのような布に変わっていたのですが、それが1枚1枚はがれることに気づきました。薄いさらしが何枚か重なっているような感じです。

そのことを妻に尋ねたところ、なんとキッチンペーパーを重ねてテーブル拭きに使っているとのこと。私は布タオルの要領で水道で洗っては絞って使っていましたが、紙だとは全く気がつきませんでした。

妻に聞いたところ、強いキッチンペーパーが売っているとのことで、それを重ねて使っているそうでした。おしぼりのように使えて、汚れたらぽいと捨てることのできるとはすごい!日本の技術と家庭の知恵、すごいですね~

 

それでは、これまで3回にわたって解説してきたタンパク質栄養の最終回です。がんばっていきましょー

 

 

 

ウシのタンパク質栄養システム

 

 

これまで、ルーメンの中のタンパク質消化をみてきました。


おさらいしますと、ルーメンから流れ出て下部消化管で消化されるタンパク質には2通りが存在します。ひとつはエサに含まれるタンパク質でルーメン内で分解されずに小腸まで流れていくもの、もう一つは微生物タンパク質です。前者は植物性タンパク質、後者は動物性タンパク質です。これら2つを合わせて代謝タンパク質と呼びます。動物性である微生物タンパク質は、エサのタンパク質と比べて貴重な制限アミノ酸をたっぷりと含んだバランスの良い優れものです。

ウシを始めとする反芻動物は、質の悪い植物性タンパク質の一部を、ルーメンを介して良質な動物性タンパク質に変換するシステムを進化の過程で獲得しました。不足しがち制限アミノ酸を微生物タンパク質から得ることができるようになったおかげで、反芻動物は劣悪な飼料環境でも高タンパク含量の畜産物を効率よく生産することができるのです。

ヒトが食料として利用することのできない草資源をウシに食べさせることで、人類はタンパク質に富んだ肉や乳を獲得してきたのです。私はウシをはじめとする反芻家畜に魅了されていますが、それは草からミルクや肉を生み出す反芻家畜の素晴らしさがゆえです。

ウシが持つルーメンシステム、私はワクワクするほど虜になっていますが、そのワクワク感が少しでも伝わったらうれしいです。

 

↓写真はニュージーランドの草(土地)からミルクを生産するシステム

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ルーメンシステムを考慮した飼料設計

 

このシリーズの最後にタンパク質に関連した飼料設計のポイントです。
飼料設計担当者は、植物性タンパク質である飼料をアミノ酸バランスの優れた微生物タンパク質に効率よく変換することを目指します。

そのためには、ルーメン内で分解可能なタンパク質を十分量供給し、微生物のエサを確保してやる必要があります。

そこで、この章の冒頭で紹介した大豆粕の出番となります。

大豆粕はタンパク質含量が豊富で、なおかつルーメン内で分解可能なタンパク質を豊富に含んでいます。したがって大豆粕を適当量与えてやると、微生物によって大豆粕に含まれるタンパク質が分解されて、ルーメン内のアンモニア濃度が高まります。
アンモニア濃度が高まると微生物合成も活発化します。

ルーメン内でのアンモニア供給量をケチると微生物合成量は減少します。そうなると乳生産や子牛の発育が停滞してしまいます。
微生物タンパク質の底力は無視できません。


余ったアンモニアは?

 

アンモニアは全て微生物にキャッチされて、微生物タンパク質合成に使われるわけではありません。アンモニアは気体ですからどうしても逃げてしまう部分がでてしまいます。それらは、ルーメン壁から体内(血中)に吸収されます。

実は生体にとってアンモニアは毒です。
アンモニア濃度が体内で高まり過ぎると死に至るほど危険です。したがって、吸収されたアンモニアは肝臓に送られて毒性のない尿素に変換されます。尿素はオシッコとして排泄されます。

飼料の中では高価な部類の大豆粕が利用されずに尿となって、堆肥盤に捨てられてしまうのは、効率が悪く好ましいことではありません。さらに、アンモニア毒を無毒化するためにウシの肝臓にも多大な負荷がかかります。

微生物にキャッチされずにロスしてしまうアンモニアの量を減らすことが、ウシにとっても経営にとっても大事になります。
アンモニアのロスをゼロにはできませんが、小さくするための工夫は可能です。
そのカギはエネルギーになります。

 

これまで触れてきませんでしたが、アンモニアを利用して微生物が増殖するためには、エネルギーが必要なのです。


アンモニア利用とエネルギーの関係については後日改めて取り上げます。