乳牛と酪農を科学する

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乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

ウシの一生:新生子牛と初乳

みなさん、おばんでした。

今日から5連休のスタートです。
我が家は今日、明日と職場で普段できないたまった仕事をやっつけて、後半は娘も交えて家族5人でのんびりする予定です。

 

今日は、なんと中2の長男が家族の晩ご飯を初めて作ってくれました!野菜炒め、冷や奴、味噌汁と立派な食事で、初めてにしてはおいしくいただけました。

今晩、NHKでフレンチの巨匠の特集がありましたが、我が家のジョエル・ロブションといったところでしょうか(^^)

 

ウシの一生

 

長男は、この春の身体測定で12センチも身長が伸びたそうです。
ヒトの成長も早いですが、牛の成長も急激です。
今日から、何回かに分けて、ウシの一生についてお話ししていきましょう。

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ウシは生まれ落ちたときには、40~45kgくらいの体重です。
分娩後最初に、へその緒を消毒され、初乳を与えられます。


初乳には、母親由来の免疫物質(抗体)がたっぷり含まれています。通常の牛乳には免疫物質はほとんど含まれません。子を産んでから最初に搾ったミルク(初乳)にもっとも多くの免疫物質が含まれます。

 

ウシはヒトと違って、母親の胎盤を通して、免疫物質を受け取ることができません。
したがって、子牛は体内に免疫物質を持たずに産まれてきます。このままだと、環境中に常在する病原体に簡単に感染してしまいます。

これを防ぐために初乳から免疫物質を受け取る必要があるのです。


免疫物質は大きなタンパク質です。
通常、このような巨大分子は小腸から吸収されることはありません。もしそれが可能ならば、病原体のような大きな物質も体内に容易に侵入してしまうからです。

 

しかし、出生直後の子牛の小腸では、ある一定期間だけ大きな分子を吸収することのできるトビラが開いています。病原体を取り込んでしまうリスクもありますが、同時に免疫物質を体内に取り込むことが可能になります。

このトビラが開いている間に免疫物質を小腸へ送り届ければ、子牛の体内に母親由来の免疫物質(抗体)が取り込まれ、病気にかかりにくい丈夫な子牛に育つことができます。

このような理論から、生まれ落ちてから数時間以内、遅くとも半日以内には初乳を与えましょうと言われています。

 

初乳は母牛から搾ったものでも良いですし、たくさん搾れた時の別のウシの初乳を冷凍しておいて、それを解凍して与えたりします。

 

ちなみに初乳中の免疫物質濃度は、分娩前の母親の栄養や健康状態に左右されます。栄養状態の悪い母牛では、初乳中の免疫物質濃度も低下してしまいます。

また、若いウシよりも、年増のウシの方が、初乳中の免疫物質濃度が高くなりがちです。そのウシが持っている免疫物質は、そのウシがそれまでの人生(牛生?)でかかった病歴を反映しています。インフルエンザのワクチンと同じで、一度病気に感染すると、その病気に対する免疫物質が作られます。歳を重ねたウシの方が、その生きてきた年数の分だけ多くの病気にかかっているので、それだけ免疫抗体のバリエーションも増えるということになります。

 

こうして初乳を飲んだ子牛は、その後間もなく母親と離されて子牛だけのエリアに移っていくことになります。