乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

ウシは反芻によってルーメンにアルカリ性の唾液を送り込む

みなさん、おばんでした。

 

一日中、雨の札幌。
小学校の運動会は軒並み延期。

明日も中止になると、来週に持ち越しになってしまいます。

来週末は娘との面会予定なので、なんとしても明日実施してもらいたいものですが。。。
てるてる坊主をぶら下げたい気分です。

 

反芻の大きな役割その3

 

反芻は繊維を細かくして消化を良くすること、繊維を破砕することでルーメン微生物が付着できるスペースを広げること、を解説してきました。

 

もう一つの大きな反芻の役割が、ルーメンへ唾液を送り込むことです。


ウシの唾液はアルカリ性です。


ルーメン微生物がエサを分解する際に出す物質の大半は酸性です。これを有機酸とかVFAと呼びます。この有機酸はルーメン壁から吸収されて、血液中に入り、それが肝臓に送られるとウシにとってのエネルギー源として利用されます。

つまり、ウシは草を直接栄養源として利用するのではなく、微生物に草を分解してもらい、そこから出される酸をメインの栄養源にしているのです。おもしろいというか、まどろっこしいというか、とにかく興味深いシステムです。

 

発酵のされやすいエサを食べ過ぎると、微生物はどんどん酸を作り出してしまい、ルーメン壁からの吸収が追いつかなくなります。そうすると、酸がルーメン内にたまってしまい、ルーメン内のpHが低下し始めます。

 

ルーメン内のpHは通常、中性から弱酸性ですが、酸がたまりすぎてpHが極度に酸性に傾くと微生物たちは死に始めます。ルーメン微生物は酸性に弱いものがほとんどです。

 

ここで救世主として登場するのが反芻です。

繊維質を豊富に含むエサを食べると、堅いルーメンマットが作られ、そのマットがルーメン壁を刺激することで反芻が始まります。反芻は胃壁の刺激に対する反射です。

反芻によって大量の唾液がルーメン内に流れ込むと、アルカリ性の唾液によって酸が中和されます。

酸性に傾いていたルーメン液も弱酸性~中性に引き上げられます。

死にかけていたルーメン微生物も、pHの上昇によって息を吹き返します。

反芻はヒーローです。

反芻様々~、パチパチ~、

 

反芻は、ルーメン微生物に対してエサの供給と生息環境の安定化の二つの役割を果たしていることになります。

 

私は、ウシが反芻をしている様子を見るのも大好きです。

なんとも言えぬ幸せ感を漂わせつつ目をトロンとさせて口を動かすウシ。彼女らの幸せが、観察している私にも移ってきそうな、そんな瞬間です。

 

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今晩は、近所の行きつけの居酒屋に行って晩ご飯を食べてきました。

一杯引っかけると気が大きくなるこのオジサンは、帰りにスーパーに寄って子どもと奥さんにおやつを買ってあげました。さらに、明日の朝はオジサンのおごりでスタバで朝食の約束になってしまいました(^^;)

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なして、オヤジは飲むと気持ちがでかくなるのでしょうかねえ。。。

財布の中身も寂しいのに。。。

あっ、今月の小遣い、まだもらってない~!