乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

地方私立大学の乳牛栄養学を専門にする教員はこの時期何をしているのか?

先週から分析(実験)ウィークが始まりました~
実験室で、かけずり回る立ち仕事で毎日グッタリです~

 

今年度は、エサやルーメン内容物やルーメン液の化学成分を分析します。
そんなに複雑多岐ではないですが、それでも乾物、タンパク質、繊維質(NDF)の各含量と、ルーメン液の有機酸やアンモニア態窒素濃度といった項目を分析します。それらの分析にはサンプルの前処理や実験器具の調整など一つ一つに結構な時間がかかります。


先週は朝から晩までびっしり分析をして、何とか全体の7割方終わりました。
今日も朝から日が暮れるまで学生とともに分析に取り組みました。

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私どもの学類(学科のようなもの)は、教員一人が一研究室を主催するという体制です。
他学類は複数教員もあるのですが、私の学類は一人体制です。

 

大学は白い巨塔を持ち出すまでもなく、研究室内の教員同士の人間関係が問題になることが少なくないようです。

そのようなことを考えると、一人は気楽です。
しかし、気楽とバーターに責任も一人、雑用も一人、研究遂行や学生指導も一人でこなさなくてはいけません。

 

地方私立大学は、国立大学や中央の有名私立大学と違って教員一人当たりの指導学生数が多いです。また、大学院への進学率も高くないため、研究に従事するのは学部4年生が中心です。

 

4年生は今年初めて分析を経験します。先輩大学院生もいないので、全て私が指導します。
まずは「乾物とは生重量から水分を差し引いたもので、カンペキに乾燥させたときの重さを計ることで計算できるよ。計算方法はね・・・」といった具合に考え方からの指導になります。

 

私が学生の時は、大学院生が指導してくれたので、恩師の先生から分析を指導してもらった記憶がありません。

私は牛舎での牛を飼いながらの実験も全て一人で指導するため、ほぼ全ての実験を終えてからでないと実験室にこもることができません。そんなわけで、この時期にまとめて化学分析に取りかかることになります。

実験室では学生の「先生、次は何をしたら良いのですか~」「先生、これどうしたらいいの~」と、小鳥のさえずりのような呼び掛けに、聖徳太子(呼称変わったのでしたっけ??)のように応じます。

同時進行でばったばったと分析指導しているうちに、自分がスーパーマンが千手観音になったような錯覚に陥ります。

 

分析が完了しても息をつくことはできません。

上がってきた結果を用いて統計処理に取りかかります。
統計は、読者諸兄も苦手かと思いますが、私も学生時代は全くチンプンカンプンでした。それは今の学生も同じです。学生に統計処理は荷が重いので、私の独擅場になります。

 

というわけで、夏から秋にかけてで毎日牛舎でクソまみれ、ウシのよだれまみれ。
秋から年明けにかけては、実験室と研究室でサンプルやデータと格闘。

乳牛栄養学を一人で担当している教員は多かれ少なかれこんな感じで日々過ごしているのではないでしょうか。
この合間に講義・実験、それらの準備、学内委員の会議、原稿執筆、講演活動と、まあ時間術を駆使しして仕事効率マックスでやっていかないとさばききれない仕事量です。
のんびりしていたら、家族の時間なんて真っ先に吹っ飛んでしまいます。

ちなみに今朝も7時台に出勤して、今が19時半。
あっという間の1日でした。

 

大学教授・・・世間からすれば悪い響きではないかもしれません。
ですが、仕事量をこなすためには、のんびりもしていられない。
楽な仕事なんてそんなに世の中ありませんよね。。。