乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

学生時代における無から有を生み出すほぼ唯一の経験とは

昨今、アクティブラーニングといって、生徒や学生の主体性を引き出す授業形態が注目されています。
これまでのように受け身一辺倒の授業では、考える力や、考えたことを伝える力が身につかないという発想から、注目を集めているようです。

 

大学において、学生の主体性が最も重要となる科目に卒業研究があります。

卒業研究では、最後に卒業論文(卒論)を書き上げて単位取得となります。

 

卒業論文作成にはいくつかの締め切りがあります。

まずはタイトル。これは11月上旬に終わりました。

 

次に卒論発表会用の講演要旨。これはこの週末に提出できました。A4半ページの小さな文章ですが、これまで行ってきた実験のデータをまとめて掲載しなくてはならないので、ボリューム以上に中身は濃いです。

 

次いで締め切りとは少し違うかもしれませんが、卒論発表会が1月下旬です。
こちらは持ち時間10分程度でパワーポイントで聴衆の前で発表します。

 

最後に本論。
これは2月の下旬です。
本論を出し終えて、ようやく長かった卒業研究のゴールに到達します。

 

これら以前に、春先にはテーマを決めるところから始まります。

 

卒業研究とは、全く何もない“無”から企画出しを始め、最後には論文という“形”を生み出す作業です。

決断、実行、考える、の繰り返しが1年間続くという、得がたい経験になります。

 

私の所属する学類では卒業研究は選択科目です。
研究室によっては自主ルールで必修としているところもありますが、私は学生に強制して何かをやらせることが好きでないので自主性に任せています。

 

ただし、私の本心は卒論は履修した方が良い、いや必ず履修すべし、です。

 

日本の教育は6+3+3+4で16年ありますが、この間に自分が主体となって、自分で考え「無から有を生み出す」作業としては、卒論作成が最も大きな経験になると考えるからです。国家試験などの資格試験の受験を除けば、教育課程における集大成といっても過言ではないでしょう。

 

極端な話、卒論作成は学生時代最大の学びだと私は確信しています。

 

意欲を持って卒業研究を履修した学生はそのチャンスを得ることができます。
スタートを切らないと学びを得るチャンスをつかむことはできません。

 

ただ、卒論のスタートを切ってもこれまで染みついている「与えられる学び」のスタイルを変えられず、「主体的な学び」に馴染めない学生も少なくありません。

そういった学生は、どうしても指示待ちになってしまいがちです。

そんな学生たちに、なんとか自分で考え、決断してもらおうと仕掛けますが、なかなか簡単なことではありません。

 

主体的な学びに向けての仕掛け作り、これは今後の私の課題といえそうです。

 

さて、卒論履修学生は講演要旨を出し終え、一段落、ホッと一息ついています。

昨日は学類研究室対抗のバレーボール大会があり、なんと我が研究室は準優勝でした!

 

今日は学生たちと年末、年始のスケジュールの確認、卒論発表会用のスライド作成について打合せをしました。
学生たちには、良い正月を迎えてもらい、年明けからまたエンジンかけて取り組んでもらいたいものです。

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