乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

フランス クレルモンフェランでのポジティブな出会い

私は、今、フランス中央部、クレルモンフェランという街に来ています。
地方でいうと、オーベルニュという地域です。


この街にフランスの国立農業研究所があり、しばしば国際学会が開かれます。

私も3回目の訪問ですが、ヨーロッパの畜産や、この地域の特色にいろいろと気づきがありました。

 

・ヨーロッパでは、家畜由来の温室効果ガスの削減が、大きなテーマ
さすが、環境への配慮が盛んなお国柄と思わされます。
学会でも、これに関する発表が多数行われています。現地見学会では、農業研究所での放牧地からの温室効果ガスの排出をモニタリングする装置を見ました。日本では考えられない規模と力の入れようでした。
日本で、あのような研究を行う日が来るのでしょうか。
EU諸国と日本では、家畜頭数の規模が違うので、並列で語ることはできないかもしれません。

 

・反芻行動の大家に出会う
私の研究のテーマの一つに、牛の反芻行動とルーメンのアシドーシス(病的な酸性化状態)があります。

その関係で、研究論文を探すと決まって出てくるカナダの研究者がいます。K.Beauchemin(カレン)さんです。彼女は、反芻行動とルーメンのアシドーシスについて、数多くの論文を書いています。
現地見学会で、すらりとした知的で素敵なご婦人がいると思っていたら、なんとあこがれのカレン先生だったのです。


日本人ということで、彼女から話しかけてきていただき、たどたどしいやりとりでしたが、盛り上がることができました。彼女の最新の論文を読んだと伝えると、嬉しそうにしていました。

 

・ポジティブシンキングな大学院生に出会う
この学会、日本人は4名だけの参加のようです。
そのひとり、北大の修士2年のW君と見学会で一緒になりました。
彼、猛烈なインパクトを私に与えてくれました。

彼は、強烈な上昇志向、向上心、冒険心の持ち主で、なおかつ幸せ感じ上手な魅力あふれる若者でした。

20歳以上年下の若者ですが、刺激に満ちた気づきをもらいました。

一緒に晩ご飯を食べながら、彼から、日本人には珍しい、貪欲な考えを聴くことができました。

私は彼を、とても魅力的に感じましたが、それを証明するかのように、W君は、春先の段階で多くの企業から内定をもらっていたということです。
企業の人事担当者も、一目で彼の魅力に気付くだろうなと、納得しました。

 

・日本人(アジア人)をバカにするヤカラがここにも
私ではなく、W君の話ですが、クレルモンフェランの街角で、若者の集団に大声でちょっかいを出されたそうです。

私はフランスに行くたびに、地下鉄や街角で、主に褐色系の若者に、推測ですが汚い言葉を投げかけられます。明らかにバカにした態度で、言葉をぶつけられます。

フランス以外の国では、そのような経験はありません。

その恒例の出来事が、地方のこの街でも、あるのですね。
日本人でも他国に差別的感情を持つ人がいますが、実際にされてみると、そのことの寂しさ、心の貧しさが実感できます。

 

とまあ、いろいろありますが、今日もこれから、学会で興味深い話や人と出会えるでしょう。
さわやかに晴れ渡った、気持ちのよい青空です。

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