乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

うれしい論文受理報告

3年前、私の研究室にミャンマーからの留学生ミンさんが在籍していました。


彼は、母国では獣医の資格を有する大学教員で、本学留学中は免疫と乳生産についての研究に取り組みました。

 

当研究室に在籍していた時から精力的に研究成果について取りまとめ、帰国後すぐに論文投稿にチャレンジし始めました。


しかし、試験設計や結果のまとめ方の甘さから、なかなか論文が受理されませんでした(受理されることをアクセプトといいます)。論文掲載不可(リジェクト)の通知を何度も受けることになってしまいました。

通常、学会誌に論文を投稿すると2~3名の審査員が、論文の査読を担当してくれます。この審査員が、親切かつ辛口に論文の不備を指摘してくれます。私も論文審査を度々引き受けますが、論文としての体裁が整っていない低レベルなものから、惜しいんだけどもう一回書き直してください、というあと一歩レベルまで様々な原稿が世界各国から届きます。


一方で、私自身、自分で論文を書いて投稿することもしています。

自信満々で投稿した論文に辛口のコメントを頂戴すると、気持ちが萎えて、しばらくは原稿の修正に取り組めなかったりします。


ミンさんは、これまで何名もの審査員に様々なダメ出しコメントをもらいました。
その都度、私もアドバイスをしましたが、正直なところ修正もし尽くしたように感じられて、もうダメかなと諦めかけていました。

 

ですが、ミンさんは、めげずに驚異の粘り腰で、学会誌への論文投稿を放棄することはありませんでした。

チャレンジをし続けたのです。

(この辺、好きな番組の一つ「プロフェッショナル 仕事の流儀」に登場する人たちにも通じるものがあります)

 

その結果がついに実り、今週、獣医系の学会誌から論文アクセプトの通知をもらうことができました!

そのことを伝えると、彼からも喜びのメールがすぐさま届きました。

実は、ミンさん、帰国後に二人目の子供が授かりましたが、その直後に大病を患ってしまいました。

今は回復して業務に復帰していますが、闘病生活中も論文投稿を諦めず、トライし続けていた姿を知っているだけに、私も大いに感動しました。

 

昨年末、私も学会誌に論文が掲載されました。数年ぶりの英語論文だったので、相当嬉しかったです。

ですが、今回の論文アクセプトは、その時以上に嬉しい出来事でした。

遠くミャンマーの地で活躍するミンさんから刺激をもらいました。