乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

脂肪味を感じる舌を持っていますか?:NHKクロ現

私の実家はラーメン屋でした。
さっぱり目のスープに、モヤシがてんこ盛りのラーメンが特徴でした。


少しずつ値上げをしましたが、閉店時でも1杯650円でした。
この安いラーメンを、客に頭を下げながら、プロの心意気で提供し続けた両親には、とても感謝しています。

 

私は、両親のラーメンを食べたいと思って、様々なラーメン店を渡り歩いていますが、「似てる!」と思わせる店には出会えていません。
さすらいのラーメンハンターといったところでしょうか(^^;)

 

最近のラーメン行列店は、特に東京出張などすると、背脂の浮いたアブラ多めのラーメンが人気のような気がします。私の大学のある地元でも、そういったラーメン店の駐車場はいつも満車です。

 

私は、アブラが苦手なので、家系などのコッテリラーメン店にいくときはアブラ少なめをリクエストします。そうでないと完食できません。

 

昨夜のクローズアップ現代では、舌に存在するアブラの味を感じる「脂肪味」センサーについて放映されました。

舌には味蕾といって、味を感じる小さな袋状のくぼみがあります。

このくぼみの中にある細胞が、味を感じる仕組みになっています。

 

味蕾には、塩味、苦味、酸味、甘味、旨味の5味が存在することが、これまで知られていました。
ここに、脂肪味という第6の味覚が存在することが、わかってきたそうです。

 

これら6味は、強い味にさらされ続けると、どんどん麻痺してくるそうです。
たとえば、脂っこい食事ばかりとっていると、少々のアブラでは味を感じなくなってしまうそうです。

 

脂肪は、甘味やうま味も刺激するそうです。
何かで読みましたが、甘味やうま味は、脳の快楽中枢を刺激するので、人は幸せを感じるそうです。ひょっとすると脂肪味自体が、快楽中枢を刺激しているのかもしれません。


食べることで幸せを感じるのは、こういった体内メカニズムが関係しているのだと思います。ストレスにさらされている人が、やけ食いしちゃったりするのは、食べることで幸せを感じ、ストレスを解消しようとしているからかもしれません。

6味の中でも、脂肪味は、摂取することで幸せを感じる効果が大きいのでしょう。

 

幸福感を感じられるので、脂っこい食べ物が好きになる

脂っこい食べ物を食べる頻度が高いと、脂肪味を感じるセンサーが鈍ってくる

さらにアブラの多い食事でないと、おいしさ(幸せ)を感じられなくなる

アブラの取り過ぎが健康被害につながってしまう

 

といった負の流れが、番組では注意喚起されていました。

 

人が多く、緑が少なく、ストレスにさらされている人が多い地域に、背脂コッテリラーメン店が多いのは、こういった理由なのかもしれません。

 

味蕾は10日間程度で再生するので、味覚は簡単に変えることができるようです。

番組では、脂肪味や塩味センサーが麻痺して鈍感な人たちが、食生活改善に取り組む様子が放映されていました。


実験の結果、わずかな期間、意識して健康的な食事を続けるだけで、舌の脂肪味や塩味は敏感に変化していました。

 

家系ラーメンでアブラ多めとかをオーダーしちゃう方、漬け物に醤油をかける人、刺身や寿司を食べるときに醤油がいくらあっても足りない人、これらの方は、脂肪味や塩味が麻痺しているかもしれません。

 

薄味でもおいしさを感じられる敏感な舌は、10日~2週間程度意識するだけで作ることができるようです。
健康を考えて、良い舌を作りたいものですね。

 

↓ある日の朝ご飯。いつも、おいしく、身体に良い食事を作ってくれる妻に感謝