乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

酪農セミナー参加、三つの醍醐味

広島大学が主催の酪農セミナー参加のため、東広島市の西条という街を訪問しました。

 

いつも感じることですが、今回は特に実りの多いセミナーとなりました。

なぜ実りが多かったのか、その三つの理由を説明します。

 

一つ目は、当然ながら酪農科学に対する新しい情報を得られたことです。

 

大場教授の講演では、

「牛に咀嚼、嚥下されて、ルーメンに流入する飼料片の粒度はおよそ10ミリである。

この長さは、与えた牧草が長くても、短くても変化しない(当然、10ミリよりも短い繊維を与えた場合は、これよりも短くなります)。

ルーメンに入る繊維の長さが同じなので、反芻時間も同程度となる。

ゆえに、給与する牧草の切断長は10ミリ以上であればよく、長すぎると選択採食(選り好み)がおこるのでよろしくない」

 

という理論がエビデンスを交えてわかりやすく解説されました。

この理論は、先代ルミノロジー研究室の教授、岡本先生も語っていました。
数十年の時を経て、最新の科学技術を使って、改めて実証されたということになります。

 

久保園講師からは、

「土壌の排水や団粒構造を確保するためには、プラウイングが大切である。

表層撹拌では、それより深い層の土が固まってしまう」

という、土作りの話しを聞きました。

酪農セミナーでは、エサや牛の管理の話しが多い中、土作り、堆肥の重要性の話しは新鮮でした。

 

さて、二つ目のポイントは、多くの業界関係者との出会いと、情報収集です。

これは、懇親会や休憩時間に、名刺交換するところから始まります。

懇親会、苦手なヒトが多いかもしれません。

かくいう私も、欧米人のような気さくさで人の輪に入っていくのは、それほど得意ではありません。

ですが、DAIGO氏の著書にあったように、今日は何枚の名刺交換をしようという目標を立ててのぞむと、成果を得られます。

昨日は、初めて名刺交換した方が知人の知人だったり、非常に高度な実績を持っている方だったりと、有意義な出会いが多数ありました。

お一人とは、今度訪問しますというところまで話を進めることができました。

 

3つめのポイントは、酪農大関係者独特のものかもしれません。

それは、卒業生との出会いです。

昨日も、わずか1日のセミナーだったにもかかわらず5人の卒業生との出会うことができました。彼らとの会話の中に登場した共通の知人を含めると、もっと大勢になります。

 

生産現場、研究現場、酪農関連資材の流通の現場など、様々な場所で本学卒業生と出会うことができます。

私が直接知っている方もいれば、名刺交換の際に判明したりといったように、ほとんどの場合で卒業生と出会います。

本学の伝統と裾野の広さを実感できます。

 

さて、今朝は8時のフライトでした。
午後からは、大学に戻り、実験と教授会です。

忙しい中、強引にスケジュールに組み込みましたが、そのおかげで充実した実りを得られた出張でした。

 

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