乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

人工肉

 

今朝、森本毅郎さんのラジオで月尾嘉男さんが「人工肉」について紹介していました。

 

人工肉は、「アーティフィシャルミート」や「フェイクミート」などと呼ばれ、植物タンパク質を使って工業的に作られた肉(もどき)です。

 

最近、私たちの畜産分野で、将来を見据えた話題になったとき、必ずと言っていいほど登場するのが、人口増加に伴うタンパク質供給元についてです。

その時に話題に上るホットトピックスが、「昆虫食」です。


与えたエサが、どれだけタンパク質に変換するかという効率でみると、昆虫や魚は非常に優秀です。

 

牛や豚のように生育期間が長く、大きな体になるほど、タンパク質生産のための飼料効率は低下する傾向にあります。

 

だけど、虫を食べますか。。。

私も含めて、抵抗あるヒトが多いのではないでしょうか。

正月のテレビ放送で、北欧のヒトが、今はやっているスナックとしてコオロギを食べていましたが。。。

 

そんなところに、大豆などから植物性タンパク質を取りだして、肉そっくりに加工した人工肉が注目を集めているそうです。

 

昨夏、私が訪問したカナダでも、ファストフード店では人工肉ハンバーガーが売られていました。

 

こういった人工肉、ベジタリアンでも食べられますし、家畜由来の環境への負荷も減らせるということで、右肩上がりで普及しているとのことでした。

 

ブタの消費量世界一の中国では、アメリカとの貿易摩擦で、飼料用の大豆輸入量が減っており、豚肉生産が不足気味のようです。

そのため、ブタを飼わなくても、豚肉に似た人工肉を作ればよいということで、人工肉市場が活発化しているそうです。

 

味もおいしく、リアル肉と見分けが付かないものまで出てきているので、今後は人工肉の消費が爆発的に伸びるだろうと、ラジオでは語られていました。

 

良いことずくめに感じられる人工肉ですが、私は一つ疑問に思いました。

それは、植物性タンパク質と動物性タンパク質のアミノ酸組成の違いです。

 

見た目も、食べた食感も肉そっくりだとしても、人工肉の栄養成分までは本物の肉と同じにはならないでしょう。

動物性タンパク質は、含まれている必須アミノ酸のバランスが、植物性のものと比べて各段に優れています。

我々が生きていくために必要なアミノ酸、それが必須アミノ酸です。
必須アミノ酸は、人間が体内で作ることができないので、必ず食品から摂取しなければなりません。

 

果たして、人工肉も、人間が必要とする必須アミノ酸を、リアル肉並みに含んでいるのでしょうか。
そこのところ、とても気になりました。

日本でも人工肉は売られているそうなので、ぜひ食べてみたいと思いました。

 

↓今日のオカンメシ、もちろんリアル肉です(^^;)