乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

気候変動と酪農

先週末、札幌で開催された酪農シンポジウムに参加してきました。

テーマは、気候変動と酪農現場のリスク管理でした。主催は雪印メグミルクの酪農総合研究所です。

 

気象予報士の講演では、北海道の年平均気温がこの100年で1.59℃の、日降水量70mm以上の豪雨の日数が増えていると報告されました。

 

今後の北海道では、
年平均気温の上昇、特に冬の上昇幅が大きいことが強調されました。
真夏日、熱帯夜の大幅な増加や、真冬日の減少が予測されています。

 

この温暖化は、人為的なものなのか地球レベルの気候のリズムなのかは別にして、避けることはできないことだそうです。

 

続いて、気候変動と酪農飼料の栽培管理技術に関する講演がありました。

 

牧草生産では、干ばつと長雨に対する対策のポイントが述べられました。

私たちも現場で牧草の栽培管理をやっていて強く共感できる話題が多数紹介されました。

 

一例を挙げると、
「牧草収穫時期と、牧草の播種時期を分散することが大切」
「飼料用トウモロコシの湿害、病害、台風による倒伏への対策が必要」
といったものです。

 

特に後者については、1枚のトウモロコシ圃場に、系統の異なる複数品種を播種するとリスク分散になるということでした。

耐病性に優れた品種、対倒伏性に優れた品種、多収性品種などを混播するといったものです。

これなど、おもしろそうなので、早速来年の作付けで試してみてもよいと感じました。

 

最後は、有料の天気予報サービスを利用した、牧草収穫体系についてでした。

ネットやテレビの天気予報も良いですが、牧草収穫時に長雨に悩まされる地域であれば投資する価値があるかもしれません。

発表資料は、酪総研のHPにアップロードされるそうです。

 

ちなみに、数年前、私も講演させてもらいました。その資料も掲載されているはずです

酪農総合研究所 Research & Development Center For Dairy Farming

 

実践できそうな学びを持ち帰れると、セミナーに参加した意義があります。

卒業生や、知り合いの関係者にも会うことができ、有意義な時間を過ごすことができました。

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