先々週と先週は講習や視察など学びが多数ありました。
多くの学びを得ましたが、インプットが多すぎると記憶にとどまりません。ここは、ひとつアウトプットしておきたいと思います。
・哺乳子牛のセミナー
初乳の飲ませ方、哺乳量の考え方、離乳方法と離乳移行期の管理などが講演されました。
家族経営で、手哺乳スタイルの多い北海道型の推奨哺乳法としては次の通りでした。
・代用乳を150g/Lで溶いて、6L/日(大きな子牛では7L/日)を飲ませる
・哺乳量は離乳まで一定(離乳に向けて減らさない)
・6週齢離乳
ちなみに、今話題の新型肺炎ですが、牛にもコロナウィルスがあり、管理が悪いと群全体に蔓延するという報告がありました。ワクチン接種プログラムの徹底や初乳を飲ませるといった免疫力を高める工夫によって、改善がみられたそうです。
酪農家の視察では、次のような気づきを得ました。
・牛体がきれいな酪農家では、乳量が多い
視察した酪農場はどこも牛体がピカピカで、日乳量で35kg前後は搾っていました。
そのうちの2軒は家族経営で、古い牛舎でしたが、1乳期乳量が11,000kg以上の超優秀経営でした(1乳期≒1年間で1万キロが高泌乳牛の一つの基準です)。
牛や牛舎をきれいに保ち、整理整頓ができている農場では、飼養管理や圃場・収穫管理も細やかにおこなっていると推測されます。単にエサだけではない、牛を飼う総合力が乳量に反映されるのでしょう。
・機器分析のベテランに話しを聞くべし
大学や試験場の実験室では、高額機器を使った分析がおこなわれます。今回のコロナウイルスを特定する分析手法はPCR法という遺伝子を調べる手法ですが、これら特殊な分析は一定以上の技術や機器を揃えた実験室でなければ実施できません。
私もルーメン液の発酵品質を分析します。
たとえば、ヒトの大腸が、善玉菌が優勢なのか悪玉菌が優性なのかを調べるときに、腸内のガスを調べることで判断が付きます。これと同じことを牛の胃袋でもおこないます。
それら揮発性のガス成分を調べるのはガスクロという機械です。
今回は、そのガスクロメーカーの講習に参加してきました。今回の講師は、メーカーの中でもベテランの分析マンでした。
これまで、私がガスクロで分析をするときは機器のマニュアルに従うか、実験室に代々伝わる手順書を踏襲するスタイルでした。
ですが、ベテラン講師は、試行錯誤して結果が改善されたり、あるいは多少精度が落ちてもコストとの兼ね合いで許容範囲と判断したりするなど、曖昧なやり方もOKと教えてくれました。
マニュアルから逸脱して試行錯誤したり、自分流にアレンジすることは、なかなか思いつきません。
今回は、発想の転換ともいえる良い講義を受けることができました。
↓出張先では食事も楽しみの一つ(^^)