乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

飼料設計の基本的な考え方

乳牛の飼料設計を見なおすとき、栄養担当者は目の前に広がるいくつもの選択肢の中から、根拠を持って良いと思うモノをチョイスしなくてはいけません。

 

この「選び」、「決断する」という作業が、結構しんどい仕事です。

 

科学的な根拠、コスト的な根拠、給与する際の手間といった労働面の根拠・・・様々な根拠を持って、一つに決めなくてはいけません。

 

その選択をしたからといって、目に見えて成果が現れないこともあります。
その場合は、落ち込んだりするわけです。。。

 

ですが、プロの仕事は落ち込んで済むものではありません。
すぐさま次の手を打たなければいけません。

なかなかにレジリエンスの求められる商売です。

レジリエンスは、打たれ強さ、立ち直る力といったような意味の、最近の僕の中の流行語です。ビジネスパーソンとして最も大切な能力の一つだと思っています)

 

さて、僕の中では飼料設計に関して明確な順序があります。

それは、ミクロよりもマクロを優先するということです。

 

飼料設計の担当をしていると、様々な業者がやってきては添加剤を薦めていきます。中には魅力的な商材も多々あります。

 

ですが、その添加剤に走る前にすることがあります。

それは、目の前の牛たちが粗飼料を食い込ますことができているか、DMIを最大にするためのあらゆる努力をしているかということです。

 

牛が、繊維質、デンプン、タンパク源をこちらが設計したとおりの満度に食べた上で、さらなる高みを目指したいときに添加剤に走るべきだと、僕は考えます。
この前提条件が満たされていないときに、乳量が出ない、疾病が多発するからといって添加剤を与えても効果はないでしょう。

 

このことは、ヒトに置き換えてもらうとわかりやすいかもしれません。
朝食を抜く、ご飯を食べても菓子パンにジュース、カップラーメンといったような生活をしているヒトがいるとします。

この方が体調不良を訴えてビタミンの錠剤や生菌剤を服用したとして、効果があるでしょうか?

おそらく、食生活を抜本的に改善しないと、体調不良はなおらないでしょう。

 

牛も全く同じです。

そんなことを考えながら、飼料設計について考える日々です。

 (そうはいっても、この食わせるということが、最も難しいことではありますが(^^;))

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