乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

エサの評価 このエサの品質は良いの?悪いの?

おばんです。

 

町内の排雪が入りました。

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内地の方にはわからないかもしれませんが、札幌では年に1回、巨大な重機がガリガリと雪を削って町内の隅々までキレイに雪を持って行ってくれます。通常の除雪とは異なります。

 

道路脇の雪の壁がきれいさっぱりとなくなり、道が広くなり、気持ちがいいです。ただ、今年は小雪なので、排雪のための積立金を来年に繰り越してくれてもな~、と思ったりもします。※排雪は有料で、そのための経費を町内会で積み立てます。

 

今日はエサのお話しをします。 

 

エサの品質評価

酪農で用いるエサにはいくつか種類があります。

今回は牧草やトウモロコシなどの粗飼料を乳酸発酵させて貯蔵飼料とするサイレージについて紹介します。

 

以前に、バンカーサイロの調製について紹介しました。

 

dairycow2017.hatenablog.com

サイレージの品質は2通りの見方があります。

 

栄養価の品質と発酵品質です。

通常のエサや食品では栄養価のみで十分です。サイレージは発酵飼料なので、その発酵品質がウシの嗜好性に大きく影響します。悪い発酵だと、ウシは嫌がって食べません。

そんな訳で、サイレージに関しては発酵品質も重要な評価対象になります。

 

サイレージの発酵品質では、まずは乳酸発酵が進んでいるかどうかを確認します。pHが4.0以下に下がっていることが、ひとつの基準になります。

 

発酵の過程で、乳酸以外の有機酸も生成されますが、酪酸が検出されると良くありません。酪酸発酵はサイレージの品質を急激に悪化させます。アンモニア濃度も同様で、これらの値が高いサイレージは強烈な酸臭や異臭がして、触ると手に臭いがついてしばらく取れません。このような品質では、ウシも喜んで食べません。たとえ栄養価が抜群であったとしても。

 

栄養価の決め手はタンパク質とエネルギー

栄養価については、水分、タンパク質、エネルギー(TDN)含量を真っ先に注目します。飼料分析はいくつかの業者さんが扱っており、出す先によってエネルギーの名称は異なりますが、この3つは最優先のチェック項目になります。

 

水分はその高低が直接品質に左右する訳ではありません。ただ、エサ設計やウシへの給与の実際をイメージする際に必要になります。

 

タンパク質とエネルギー含量は高いほど良いです。

この2つは牛乳生産や健康維持にもっとも大きな影響を及ぼします。ウシに限らずヒトでも同じです。ヒトでは、不健康とされる食生活では両者のバランスが崩れて、エネルギー摂取過多になりがちです。

 

タンパク質を豊富に含むものは、エサでも、食品でも高価になりがちです。ヒトの食品でいえば、肉や魚は高価ですよね。

エネルギーを多く含むものは、油脂かデンプンを多く含みます。

 

牧草では、タンパク質含量が13-14%以上、TDN含量60%以上であれば高品質といって良いでしょう。

 

トウモロコシサイレージではタンパク質はそれほど問題にはならず、TDN含量が70%以上は欲しいところです。

 

これらの数値はいずれも水分を除いた乾物中での値です。

乾物の考え方については、次回解説します。

 

とてもざっくり過ぎる見方ですが、発酵品質と栄養価はこれらの項目を抑えておけば大きく外すことはないです。

 

そんな自分ですが、今日は昼はスパゲティーの大盛り、夜はカツカレーとビールで、エネルギー摂取過多になってしまいました。。。(反省)

妻にも雪が溶けてきたら、少し散歩しないとダメだねと提案されました。

夫婦や子どもたちおしゃべりしながらの夜の散歩、いいものですよね(^^ )