1ヵ月ほど前に、卒業生から電話がありました。
彼の実家(酪農家)の従業員を探しているという話しがメインでしたが、後半の雑談でホルスタインの若牛の買い付けにオーストラリアに行ってくるという話題が出ました。
仲間内の牧場と共同で、船で数百頭運んでくるそうです。
その時は聞き慣れない話で驚きましたが、酪農スピードニュース(3/2付)で同様の情報が報道されました。
初妊牛価格が89万円だった記事がまず紹介されていました。
牛の市場価格の高騰については先日ご紹介しました。
それに続き、Jミルク(生乳生産者、乳業者及び牛乳販売業者の業界団体)が乳牛の輸入・供給費用の一部を助成する業界独自の大型支援事業を打ち出したという記事が報じられていました。
3年15億円という大きな規模ですが、通常この手の事業は国がおこないます。いわゆる補助金というやつですね。それに対して、乳業メーカーなどの業界関係者が自ら出資するというのは珍しく、裏を返せばそれだけ乳牛頭数の減少に対する危機感が強いということを意味します。
乳牛頭数が減り続け、価格の高騰も続くと、酪農業界が先細りし、ゆくゆくは牛乳供給にも支障が出るという恐れがあるからです。
日本では主にオーストラリアからホルスタイン種乳牛が生体輸入されており、年間300~700頭規模とのことです(酪農スピードニュース)。
3月中旬に行ってきたバンコクの酪農セミナーで配られた雑誌には、中国がニュージーランドから活発に牛を買い付けている記事が掲載されていました。
猛烈に発展する中国酪農
「ニュージーランドから中国へ ホルスタイン海を渡る」という特集で、ニュージーランドから4,500頭の若牛が15日間かけて中国へと輸出されるそうです。
輸出を担当する船会社は、動物福祉に細心の注意を払い、牛の飼育環境の安全面や清潔さに加え、エサ、換気、水も新鮮であるように気を配ることが義務づけられているそうです。獣医や飼育担当者も船に乗船し、1日4回の健康チェックをおこないます。
ここ最近、中国酪農は猛烈な発展を遂げており、ウシのエサを世界各国から買いあさっていますが、ホルスタイン自体も購入し始めているようです。
ただ、中国酪農発展の陰で、牛乳の品質面では課題が山積みというレポートも同じ雑誌に報じられていました。記事が正しければ、中国の牛乳の安全・安心といった品質はまだまだのようです。
先の卒業生の電話では、ホルスタインの輸入価格は日本の市場で購入するのと大きくは変わらないという話しでした。しかし、Jミルクからの助成金が出ると価格面で魅力が出てくるかもしれません。
人の世界は少子化で労働者人口が減って大変な時代を迎えています。牛の世界も”働き手”の確保が大きな問題となっていることをお伝えしました。
私は妻が入れてくれる珈琲にはいつも牛乳を加えて、カフェオレにして飲んでいます。ヨーグルトもせっせと食べます。子どもたちも牛乳を飲むのが大好きです。
日本の牛乳は世界的に見ても極めて高品質です。
スーパーから牛乳がなくならないように、酪農家のみなさんには頑張ってもらいたいです。
私も消費面で貢献しますので。