乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

冷凍牛乳販売へ

みなさんおばんです。

4歳の次男、時たまおかしな言葉をしゃべりますが、今のトレンドワードは「トランプ大ひょう領(大統領)」です(^^)

トランプ大ひょう領はフライドチキンやポテトが好きなのを知って、彼もアメリカに行きたいそうです。。。

 

さて、冷凍牛乳です。

 

最近、キャップ付き牛乳が販売されたとのテレビ報道を見かけるようになりました。
我が家はコスト重視なのと、店頭で見かけないこともあり、購入の選択肢に入りませんが、市場に定着するかどうか興味深いです。

 

そんな折、さらにユニークな牛乳の販売方式が報道されました。

 

日本農業新聞(4/20付け)によると、「(群馬県前橋市のタカハシ乳業が、全国的にも珍しい冷凍牛乳の販売を今秋にも始める」とのとことです。

 

低温殺菌牛乳を急速冷凍することで賞味期限を従来の6日間から2ヶ月に延ばせるそうです。これによって、販売エリアの拡大が見込めるそうです。

 

ちなみに低温殺菌とは63~65度で30分加熱殺菌する方法です。我々が普通手に取るのは超高温瞬間殺菌が主流で、130度2秒の加熱です。

65度以下の殺菌法は、タンパク質の変性が最小限に抑えられ、風味が搾りたての生乳と大きく変わりません。栄養価は加熱時間によって変化しません。

 

↓牛乳パックには殺菌法が記載されています。これは超高温殺菌です。

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低温殺菌乳は長時間の加熱が必要なので、生乳が工場のラインを長時間占有してしまい、1日の処理量が少なくなってしまいます。この結果、コスト上昇を招き、販売単価もいいお値段になってしまいます。

 

何事もおいしさと価格はトレードオフです。

 

話がそれました。冷凍牛乳のおもしろいポイントです。

 

日本の牛乳は高品質で、アジアの富裕層に人気です。

私の台湾の友人も日本や北海道の牛乳のブランド力について熱く語ってくれたことがあります。

冷凍牛乳を輸出向けとしてとらえると、極めてメリットが大きくなります。

現在は輸出向けにはロングライフ牛乳が用いられています。いわゆるLL牛乳で、常温保存できるメリットがありますが、普通の牛乳と比べると少し独特の風味がするのが欠点です。冷凍牛乳は、ここに割って入り、十分に置き換えの可能性があります。

 

気になるお値段は、「1パック500mlで、500円以上になる見込み」(同新聞)だそうです(う~ん高い・・・)。さらに、「飲むためには18時間かけて自然解凍する必要」があるのも微妙なポイントです。

 

華々しく日本農業新聞の1面を飾った冷凍牛乳ですが、今後もウォッチしていきたいと思います。