今日の夕方、学内で牛乳の異臭に関する勉強会がありました。
農家で搾られた牛乳は冷蔵タンクにためられ、タンクローリーが集乳に来てくれるのを待ちます。たいていの酪農場では2日に1回の集乳で、大きな牧場では毎日というところもあります。
集乳を待つ間のタンク内で冷蔵保存されている牛乳に異臭が発生するという問題があります。
この問題は古くから存在していたのですが、近年になって再び注目されるようになってきました。
↓ニュージーランドの酪農場で見た巨大な牛乳冷蔵タンク
タンク内で異臭が発生すると、その牛乳は廃棄しなくてはいけません。クサい牛乳は売り物になりませんよね。
昨今の大規模牧場では、タンクが巨大になっており、ひとたび廃棄事件が発生すると被害額は甚大です。たとえば5トンのタンクがあったとしますと、その中には5000kgの牛乳が詰まっています。牛乳1kgはおよそ100円で取引されます。もし、タンク内の牛乳を全量捨てるとなると、50万円(!)の損失になります。
ウシは1頭で30kg程度の牛乳を1日に生産します。100頭の搾乳牛がいれば農場全体では日量3000kgですから、この5tという数字はそれほど珍しい数字ではありません。
このような大規模牧場で、異臭発生による牛乳全量廃棄事件が散発しており、警戒感が高まっているのです。
一般の消費者はパックに入っている牛乳を買います。その品質や風味はほぼ一定なので、牛乳についてあたかも工場で生産される規格品のような印象をお持ちではないでしょうか。しかし、実際はあのような均一の製品を出荷する陰には、人知れず廃棄されている牛乳が存在しています。
今日の勉強会では、異臭発生について、そのメカニズムはわかってきているものの、どのようなタイミングで発生するのかを予測するのは難しいということでした。同じ条件がそろっても異臭が出るケースと出ないケースが存在するからです。
先日、茨城で牛乳の異臭問題が発生しました。今回の話題と直接は関係ないかもしれませんが、牛乳の異臭事件としては記憶に新しいです。これも農場段階での異臭が原因ではないかと推測されているようです。
牛乳も農産物であり、動物が産み出す文字通り“水もの”です。
私の専門である、乳牛の栄養管理が牛乳の異臭発生に強く影響しているようなので、今後もこの問題についてはウォッチしていこうと思いました。