日本は、隣国との争いによって、メインの国土である4つの大きな島(北海道から九州まで)を失ったことはありません。
私はハンガリーについて高校地理程度の知識しか持ち合わせていませんでしたが、今回の旅では国土というものについて考えさせられました。
ハンガリーは、その昔は今よりも広大な面積を有する国家だったそうです。
しかし、歴史上のターニングポイントでは、東や西から攻められて、国土が小さくなったり大きくなったりを繰り返しました。
特に第2次世界大戦とそれに続く米ソ冷戦時代にかけては、国土が西から東から蹂躙された歴史を持ちます。
ブダペストに「恐怖の館」という博物館がありました。
そこは、ハンガリーの暗い歴史が展示されていました。
博物館は、戦時中はナチス、戦後はソビエト共産主義下の秘密警察が入っていた建物で、そこでは多くの知識人が連行の上、拷問され、処刑されたそうです。
第2世界大戦の大半はハンガリーナチスといって、ドイツの側に立って戦争に参加します。ハンガリーに住んでいたユダヤ人を対象としたホロコーストもあったそうです。
戦争後半はソビエト赤軍によって占領され、その影響は戦後も続きます。
現在は平和で穏やかな国ですが、長い歴史を振り返ると、今後もどのようなことが起こるかわからず、国土を維持するために常に緊張を強いられていると推測されます。
日本でも、先の大戦後、歴史の綾がほんの少しずれていたら北海道がロシアになっていたかもしれません。
しかし、そのようなことはなく、平和と安全はタダと言われる国を維持できています。
日本人は平和ボケ、などというステレオタイプなことをいうつもりはありません。
ただ、世界には様々な地域や国があって争いに巻き込まれています。
私たちも生まれる場所や時代が違っていたらその当事者になっていたかもしれないということです。
歴史や地理は嫌いという人は少なくないかもしれませんが、それは暗記だからでしょう。暗記ではなく、その国に関心を持ち、理解を深めるという気持ちで接すると学びを得ることができると思います。
世界にはいろんな国があり、そこにはいろんな人が住み、私たちと同じように喜び、悲しみ、幸せも悩みも感じながら生きています。
知ろうとすること、知ることにワクワクする気持ち、そういった感情を持ち続けると人生が豊かになります。
日本で博物館に行くと、修学旅行で来ている高校生がベンチに固まって一心不乱にスマホをいじくっている場面にしばしば遭遇します。
外国で博物館を訪れると、学校行事で訪れる子供や若者の集団に逢う機会が多いです。彼らは、ほぼ例外なく真剣に展示に集中します。入れ墨をしたお兄ちゃん、パンクファッションのお姉ちゃん、べったりとくっついたカップル、みな真剣なのです。
当たり前だと思っていたことが、外国に行くと当たり前ではない、そういったことに気づくことができれば海外旅行の元は取れたと言ってもよいでしょう。
チャンスがあれば、どんどん外国に出て欲しいです。
若くても良いし、私のような中年でも遅くはありません。
小さなところに気づきの芽が転がっていて、成長のきっかけになるでしょう。