1月15日の新聞報道で、興味深い記事を、見かけました。
「外国人実習生に労災死が増えている」という記事です。
外国人実習生というのは、農業や製造加工業などの技能を、学ぶために外国から人材を受け入れる制度です。「実習生」、これは上手な言葉ですが、実態は安い労働力です。
現在の人手不足の状況は農業も例外ではありません。
酪農の現場でも、大規模農場になればなるほど、ほぼ確実と言って良いほど外国人実習生(労働者)を見かけます。彼ら抜きには、経営を回せないと言っても、過言ではないでしょう。
そのような農業も含めた様々な現場に従事する実習生が、過酷な労働によって、労災死と認定されるケースが、3年間で22人に上るという記事です。
私はプライベートで北海道新聞をとり、職場では日本農業新聞を読みます。
北海道新聞では、1面のトップ記事で大々的に、この問題を取り上げ、警鐘を鳴らしていました。
外国人実習生22人労災死 14~16年度 過酷労働、高い発生率:どうしん電子版(北海道新聞)
一方、日本農業新聞では、2面のごく小さな記事で、ささやかに取り上げられていたに過ぎません(電子版では見つけられませんでした)。
この扱いの違いから、農業新聞の購読層には、外国人実習生に頼った経営をしている農場が多いことへの配慮だと感じました。
私は今日、この制度の是非について問うつもりはありません。
(私自身、外国人ではありませんが、酪農場で実習生として働いた1年間があります)
実習生問題を一例として取り上げることで、新聞をはじめとする報道機関の取り上げ方ひとつで、大きな問題をはらんだ「事実」に育っていくか、時の流れに埋没していくかが、決まってしまう現実をお伝えしたかったのです。
身の回りには、報道機関のさじ加減一つで、ニュースになるものもあれば、スルーされていくものが、いくつもあります。
俗なところでいけば、出張の度に感じるプロ野球やJリーグのご当地球団記事など、わかりやすい一例でしょう。
ま、スポーツは置いておくとしても、批判的な記事ほど取り上げ方による偏りが出るのではないでしょうか。
複数の新聞を見ると、気づきがあります。
新聞の複数読みは、条件的に厳しいものがありますが、許されるなら、観察してみるとおもしろいですよ。