乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

牛乳を加工、販売する企業 乳業メーカー

日本畜産学会が神奈川県の麻生大学で開催されました。

毎年3月に開催される学会で、研究のヒントや人脈作りなど、研究者にとっては学びの多いベントです。

 

今年は、乳業メーカーについて知る機会が二つありました。

 

一つは、我が家でも宅配をとっている、明治乳業に勤める女性研究者のランチョンセミナーでした。

 

セミナーでは、おいしい牛乳の開発秘話や女性研究員としての仕事ぶりが紹介されました。

 

牛乳が“おいしくなく”なるのは、酸化にともなう風味の変化が原因です。

セミナーでは、乳中成分の酸化による風味悪化と、おいしい牛乳が酸化を防ぐことで“おいしく”なるメカニズムが紹介されました。

 

牛乳中のタンパク質が酸化すると、温泉のような硫黄臭が発生します。

乳脂肪が酸化すると、煮た大豆臭が発生します。

 

これらが加わることで、牛乳嫌いなヒトの理由の一つである、牛乳独特の臭みとなります。

おいしい牛乳は、生乳を受け入れてパック詰めするまでの間に、酸素を取り除くシステムを取り入れることで、牛乳の酸化を防いでいるそうです。


さらに牛乳パックも工夫されており、品質保持の役目を果たしているそうです。

 

そのような製品開発をする講師は、働く母でした。とても立派な研究所に、新幹線で通勤しているとのことでした。
飲み会や、宿泊の出張もあるそうで、公私ともに充実したキラキラとした様子でした。

 

続きまして、もう一つの話題に移ります。
この出張中、大学時代の友人と数年ぶりに一杯やりました。

 

彼は、本州の乳業メーカーに勤めています。
北海道ではその製品を見かけることはありません。

関東にある工場の中堅幹部として、単身赴任中です。

彼の職場では、工場を回すだけのスタッフが集まらず、シフトの穴を埋めるために、彼が現場に立たなくてはいけないそうです。

スタッフの休みを確保するために、1週間以上の連勤は日常茶飯事と言っていました。

 

人が集まらなければ工場を止めるわけにいかないの?とたずねると、小売店に毎日納品しないと、同業他社に“棚をとられる”そうです。
アイスクリームなどは、10日以上連続して置いてもらえれば良い方だと言っていました。

競争の激しい乳業メーカーの、厳しい現実を知りました。

 

彼は離れて暮らす、可愛い娘たちの顔を見たいのですが、お金を節約するために帰宅は数週間に一度とのこと。これでは、私が娘と面会する頻度と変わりません。。。

 

彼に限ったことではないでしょうが、単身赴任というのは金銭的にも、精神的にも、切ないですね。

 

その夜は、あっという間に時がたち、酒が進みました。

彼とは、終電近くの改札口で、握手をして分かれました。金曜日の夜でしたが、翌日も勤務とのことでした。