乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

畜産の研究者が進む道

大学時代の先輩と食事をしました。
同業の先輩と話しをする中、改めて畜産研究者として意識し続けなければいけないことを考えました。

 

現代の研究者は、研究成果を学会で発表したり、論文として公表することを求められています。
このためには基礎的な、学術的な研究をする必要があります。
論文になる結果を得るためには、統計処理ができる試験を組まなくてはいけません。

このような実験を乳牛を使ってしようとすると、数ヶ月から、長ければ年単位の調査や飼養管理となり、莫大な労力と経費を投下しなければなりません。
仮に、こちらを「基礎研究」と呼びましょう。

 

一方、生産者や消費者に有益な技術や情報を提供するような、現場に根ざした研究も大きな柱の一つです。
こちらは、「現場研究」とします。

 

現場研究では、統計学で裏付けされるデータを得られないケースが多く、どちらかというと論文投稿には不向きです。

それでも生産現場や地域に根ざす活動はとても重要なので、そのことに生きがいを感じる研究者も少なくありません。


また、4年生で卒業する学部生にとっても、研究の入門編ということで、やりがいを感じられる卒論テーマとなります。

 

基礎研究と現場研究を比べると、基礎研究の方が圧倒的に論文を書けるチャンスは多くなります。

 

先日の会食時の話題では、われわれ畜産研究者は、大変だけど基礎研究と現場研究を両立させなければならないということで盛り上がりました。

研究の両輪を回すことが大切で、片側のタイヤだけを回すと、その場でぐるぐる旋回してまっすぐ進むことができません。

 

次代を担う若手には、ぜひ基礎研究で論文を書き、生産者や消費者にとって役立つ現場研究も忘れない、両輪を回せる研究者として育ってもらいたいと思います。

基礎も一流だけど、現場感覚も持ち合わせた研究者ってカッコいいですよね。

シンシナティレッズのボールパーク