乳牛と酪農を科学する

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ビーガン、日本で広がるかな?

今夏のカナダ訪問ではいくつかの刺激的な経験をしましたが、小さなところでは、ビーガン対象のメニューが街のレストランで当たり前のように見られたことがあります。

 

たとえば、ランチで入ったカレーやバイキングの店では、8割方のカレーがビーガン向けでした。なんの変哲のないカレー店です(写真取り忘れました~)。

(マメ知識ですが、バイキング、日本では別の言い方でビュッフェといいます。英語の発音ではバッフェといいます。最初、何のことかわかりませんでした。。)

 

さて、そもそもビーガンとは一体なんでしょうか?
あまりなじみのない呼称かもしれません。

菜食主義者といえば、話が早いでしょうか。

 

9月1日付の北海道新聞では、「ビーガン、英国で広がる」という記事が国際経済面で大きく取り上げられていました。

 

同紙によると、「ビーガン」とは「肉や魚だけでなく、乳製品や卵などの動物由来の食品を極力食べない」人たちのことを指すと定義されています。

 

さらに引用を続けますと、ビーガンが広まった背景として、健康志向に加え、動物福祉や環境保護への意識の高まりがあります。家畜を含む動物を大切に扱いたいという気持ちや、家畜が排出するメタンガスが地球温暖化の一因になっていると指摘されていることが、ビーガンの拡大を後押ししているようです。

 

たしかに、私が昨年参加したフランスの畜産学会では、家畜由来のメタン排出量をいかに削減するかという課題が数多く発表されていました。

 

さて、今回のカレー店。
ビーガン向けのカレーも肉入りのカレーと比べても全く遜色なく、おいしくいただくことができました。

 

それでは、日本でビーガン向けのメニューが当たり前になるときが来るでしょうか?
私は、ビーガンが日本の食の現場で、メジャーになることはないのではないかと想像します。

 

欧米と日本では、歴史的、宗教的な背景の違いから、家畜福祉(アニマルウェルフェア)の市民への浸透の程度が異なります。
また、温室効果ガスについても、ヨーロッパで感じるほどの強い意識は感じられません。

 

それよりも、最も大きな違いは、そもそも家畜を見かける機会が農業大国のEU諸国などと比べて、圧倒的に少ないことが関係しているように思います。


畜産物はパック詰めされてスーパーで売られているもので、その源である家畜が飼われている現場は、日本の都市部の住民には遠い世界でしょう。

 

街でビーガン向けのメニューがあるかどうか、意識して探してみるとおもしろいかもしれません。

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