先週、1泊2日の行程で、道東方面に学生を連れて酪農研修に行ってきました。
酪農場を視察し、酪農関連機関の専門家から指導を受けました。
今回参加した学生たちは、意識が高く、勉強熱心なメンバーだったので、参加の姿勢も積極的で好感が持てました。
ですが、この視察、最も大きな実りを持ち帰ったのは、この私でしょう。
このブログで何度か紹介していますが、私は大学院を卒業した後、1年間酪農場で働きました。
受入農場を決めるときに、2件の候補がありました。
どちらも先進的な考えを持った親方が経営する酪農場でした(今から思うと、恩師が人脈を駆使して、私のために優秀な農家をピックアップしてくれていたことがわかります。感謝しかありません)。
結局、その一方を選んで、お世話になったわけですが、今振り返ると明確な理由は思い出せません。札幌からのアクセスといった地理的な理由だったのかもしれません。
受け入れ先の酪農家での生活はとても充実しており、今の自分の基礎は間違いなくあの1年にあります。
そんな経緯が過去にありましたが、何と今回の視察先は、偶然にもあのとき私がお断りした酪農場でした!(全くの偶然です)
たった1泊2日でしたが、当時大学院生だった若者はこの農場を訪問しています。
親方が、先を見通したプランをお持ちだったことと、酪農を勘や経験ではなく科学としてとらえることの重要性を説いてくれたことは、今でも鮮明に覚えています。
今回訪れた牧場は大幅にリフォームされていましたが、あのときの記憶と同じミルキングパーラーと親方が出迎えてくれました。
23年の時を経ての再会です。
もう、お一人。
話しは、私が働いてた牧場に戻ります。
毎日、仕事が終わった後に、親方と二人で学びの時間がありました。その場で、親方が頻繁に口にしていた普及員がいました。「彼はものが違う。彼からとても多くのことを学んだ。今まであった普及員の中では文句なくナンバーワンだ」と。
残念なことに、その普及員は、私が勤める直前に異動になったとのことです。
私は、その方の著作をいくつか読み、酪農科学を深読みすることの大切さを学びました。生産現場では、原理原則を振りかざすだけではうまく行かないことがあることを学びました。私もカンペキにできているわけではありませんが、「教える」のではなく、「ともに考える」姿勢は常に意識するようになりました。
いつか機会があればお会いしたいと思いながら時が過ぎてしまいましたが、今回の研修の講師として、その方も参加なさっていました。
初めて、深く話しをさせていただき、深い酪農哲学の一端に触れることができました。まさに至福の時でした。
青春時代にすれ違い、感銘を受けた二人の先輩酪農人に、20年の時を経て初めて深く意見交換をする機会を持てました。
ロマンチックな今回の出会いに、あこがれのヒトがいるならば、思い切って早く逢いに行くことが大切だと、つくづく感じさせられました。
これはビジネスの場でも、恋愛でも同じでしょう。
「今度飲みに行きたいね」と社交辞令で済ませるのではなく、スケジュール片手に具体化するクセを持ちたいものです。