最近、我が家の朝食で、カミサンがパンにミルクの風味が濃厚なクリームを塗って出してくれます。
一体、この美味なるクリームはなんぞや?!と尋ねたところ、マスカルポーネとの答えが戻ってきました。
あのティラミスに使うクリームチーズですね。
マスカルポーネは、ミルクの味が濃厚でなまら美味しいので、パンに塗って食べるのオススメですよ(^^)
さて、パンに塗るといえば、代表選手はバターとマーガリンですね。
冷蔵庫から出したてだと、バターは硬くて塗りづらいのに対して、マーガリンは柔らかくてぺっとりと塗ることができます。
この違いはなんでしょうか?
それは、脂肪酸組成の違いになります。
脂肪には脂肪酸というものが含まれています。
脂肪酸には植物油脂(サラダ油)や魚の脂に多く含まれる「不飽和脂肪酸」と、牛乳や肉に多く含まれる「飽和脂肪酸」があります。
一般に、不飽和脂肪酸を多く含む油は室温で液体です(冬になったらサラダ油が固まっていたり、サバ缶を開けて油が固まっていることってありませんよね)。
逆に、飽和脂肪酸が多いと、室温ではかたまりです。
動物やヒトの体内の皮下脂肪、普通は真夏でも固体ですが、もし体温程度の温度で溶け出して液体になってしまったら、カラダはとんでもないことになりますよね(スライムのようになってしまいます(^^;))
このアブラの溶けやすさ(硬さ)を、融点といいます。
融点、すなわち溶け出す温度が高い場合は、高温でないと溶けないので、硬い油になります。
たとえば、飽和脂肪酸でメジャーなパルミチン酸の融点は63度なのに対して、不飽和脂肪酸の代表選手リノール酸の融点は-5度です。
室温で固体のパルミチン酸は60度以上に温めると液体になりますが、リノール酸は冷蔵庫内でも液体を保っていられるというわけです。
マーガリンの成分表示を見ていただくと、植物油脂が含まれています。
植物油脂には、不飽和脂肪酸が多く含まれているので、そのせいで柔らかく、塗りやすいのです。
一方、バターの成分は乳脂肪オンリーです。
乳脂肪中には、飽和脂肪酸が多く含まれているので、融点が高くなります。そのため、融点が高いバターを冷蔵庫に入れておくと硬くなってしまうわけです(カミサンは、バターをしっとりさせたいときは、冷蔵庫から出して台所に放置したりしています)。
最近、バターが硬くなったという報道を目にした方がいらっしゃるかもしれません。
乳脂肪に含まれる脂肪酸の構成は、食べているエサによって大きく変動します。
食べているエサの脂肪酸組成によっては、乳脂肪中の飽和脂肪酸含量が上昇することは珍しくありません。乳脂肪中の飽和脂肪酸の比率が高まると、融点が上昇するので、室温で溶けにくいバターになることもあるでしょう。
ですが、含まれている飽和脂肪酸の比率が多少高まったとしても、乳脂肪やバターの栄養価が大きく変わることはありません。
脂肪酸には、オメガ3脂肪酸(αリノレン酸)のように健康に良いものや、逆に不飽和脂肪酸が酸化するときにできるトランス脂肪酸のように健康を害するものなど、ヒトの健康に関係するものが多くあります。
この分野、勉強すると、食生活が豊かになるのでおもしろいです。