1月末に、Webセミナーの講師をさせていただきました。
テーマは「飼料設計とウシのアウトプットのズレを考える」というものです。
前半は、ズレの生じる理論を僕なりに解説しました。
後半は、現場の最前線で活躍しているお二人の獣医師とともに、実際の酪農場で生じている理論と牛の反応のズレについてディスカッションしました。
今回、こういったテーマを設定した理由は、僕の実体験にもとづきます。
僕は、長いこと大学のウシたちの飼料設計をしていますが、なかなかエサ設計の予測値と実際の乳量がピッタリはまることがありません。
また、最近、酪農場を訪問する機会が増えましたが、飼料設計の予測値と実際の乳量が驚くほどかけ離れていることをたびたび目にします。
40kg/日以上の乳量が出る設計を給与している牛群で30kg/日に届かないとか。
このような経験をする一方で、乳量と設計の予測値がピッタリはまっている現場にも遭遇します。
この違いはどこから来ているのでしょうか?
この点を解明するために、過去に何度か卒論のテーマで取り上げ、原因を探りました。
過去の事例では、飼料構成を大きく変えて、どのようなメニューだとズレが大きくなるかといったことを評価したり、繊維の消化率がどの程度、乳量予測に関係するのかといったことを検討したりしました。
今回のセミナーでは、そのような僕たちの研究室で得られた情報を織りまぜながら、講義をしたというわけです。
僕は大学教員で、あくまでも理論中心の研究者です。
生産現場では無数の要因が複雑に絡んだ結果としてウシの乳量が決まります。
このような現場で起こっている、切った張ったの「実戦」の経験値は、僕のような研究者は臨床獣医師の足もとにも及びません。
後半の現役獣医師とのクロスセッションでは、論文や研究で得た細切れの理論では説明しきれない事例も紹介されました。
セミナーに向けて最大限の準備をしましたが、一部、僕の方でもしどろもどろになる場面もありお恥ずかしい限りでした。。。
研究・理論の専門家×現場の技術者のディスカッションは、ピリピリした刺激があって頭は疲れるけど、学びや気づきを得る上では最大級の時間といえるでしょう。
数百人も集まってくださったWebセミナー
実り多い時間を与えてくださった企画サイドや参加者のみなさまに何とお礼を申し上げて良いやら、感謝の言葉も出ない心境です。
↓今となっては懐かしい雪の降る前の一コマ