酪農の師匠Kさんから飼料設計を中心とした講義を受ける機会がありました。
その講義で、彼の口から盛んに強調された言葉がタイトルになります。
乳生産にとって飼料設計は重要であるが、それ以上に、エサを食わせる技術、牛にエサを食べてもらえる環境作りが重要であり、それにはヒトが8割程度の影響を与えているということです。
飼料設計がダメなら話しになりませんが、いくら飼料設計が完璧でも、牛が快適にエサを食べることができない牛舎では乳量は増えないということです。
たかが飼料設計、されど飼料設計
今回は、15%程度のウエイトしかないかもしれませんが、その飼料設計についてみっちりと話しを聞くことができました。
特に興味深かったのが、飼料設計に取り組むに当たっての牛の設定に関する根拠についてです。
群として飼われている牛の情報(たとえば体重や分娩後日数など)を、飼料設計ソフトに1つだけ入力するのはとても難しいことです。
そこで、簡単に逃げるやり方としては、前例踏襲のおおよその数値を入れることが行われます。
しかし、このやり方では、一ランク上の精度の高い飼料設計は不可能です。
そこで、いかに根拠を持ってその数値を決定するかが重要になります。
根拠を持つためには、情報を集めて、数学的に処理して値を求めることが必要になります。
Kさんは、様々な情報を集めて、整理して、計算し、その計算結果を用いてウシの値を決定するワザを編み出していました。
そのワザは普遍的な手法ではないですし、そのやり方が正しいかどうかはわかりません。
ですが、緻密な計算を経て得られた値は、かくかくしかじかの根拠を持って採用しましたと明確に言い切ることができます。
単なる前例踏襲の値なのか、(妥当性はさておき)根拠や意志を持って決められた値なのか、その違いが大切だということです。
インプットしている値の根拠を問うことで、飼料設計担当者の力量をうかがい知ることができます。
正直なところ、僕も明確な根拠を持たずに入力している値が多くあることに気付きました。
ウシの設定以外にも、情報の整理の仕方や、牛に喰わせるための技術、現場で生じている魑魅魍魎なできごとに際したときの対処法など、経験豊富な師匠ならではの解説にあっという間に時間が過ぎていきました。
今回は座学中心
次回は現場に出て実践編を経験したいと強く思いました。