乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

群分けのメリット

昨日、埼玉県まで足を運んで学びの効果を最大限引き出すためにはアウトプットが大切ですよ、という学習会にムスコ君と参加してきました。

ムスコ君に聞いてもらいたくて参加しましたが、最近、アウトプット不足を実感していましたので、僕自身も刺激を受けました。

少しでも良いので、日々継続してアウトプットすることが大切だということを改めて学びました。

 

この秋に、僕が監修する酪農に関するテキストが刊行される予定で、その原稿を執筆中です。

参考文献として、先週読んだ文献がなかなか興味深かったです。

 

ウィスコンシン大学のチームが開発した群分けのメリットを数値化する手法についてまとめたレポートです。

群分けを科学的に検証するために、牛の情報(産次、乳量、体重、分娩後日数、乳脂率)、トウモロコシと大豆粕の栄養成分とその単価、乳価、群分けすることによって得られる飼料費の節約と、逆に増えてしまう労働コスト、群の移動に伴う乳量減少、これらの情報を牧場ごとに整理するところから、このレポートはスタートします。

 

得られた値を以下の数式に盛り込んで、一群管理の時と群分けした場合について金額ベースで比較評価します。


群分けメリット=(乳代収入-飼料費)+飼料コスト節約効果-群分けによる管理コスト-群の移動に伴う乳量減少ロス

 

研究チームでは、この式を用いて実際の3つの酪農場で計算してみたところ、群分けなしの一群管理よりも、3つのグループに分割する群分け管理の方が年間メリット(利益)は大きくなることを確認しました。

 

また、群分けのメリットは頭数規模が大きくなるほど効果(利益)も大きくなりました。

 

この計算式は、在籍牛1頭ごとに乳代収入-飼料費を計算しなければいけないなど、とても複雑な条件整備が必要になります。

一方で、見方を変えると酪農は利益が確定するまでに蜘蛛の巣が絡まり合ったような複雑なルートを経ることが理解できます。

一杯のラーメンのように原価と利益率が決まっていて、売り上げ数のかけ算で店舗の利益が決まるといったシンプルな経済とは異なり、酪農は複雑な収益構造になっています。


村上明弘さんの名言の一つに、かように複雑な酪農経済を表す「超迂回・総合・科学・技術・産業」があります。
例えば、牛乳販売とはかけ離れた土作りから始めて、何年もたってようやく牧場の生産性が上向いてきた、なんてことをこの言葉は示唆しています。

酪農で儲けを確実につかみ取るためには、回り道をいとわず、愚直に日々基本作業をこなせるかということだと僕は考えます。酪農の儲けは各駅停車で、急行や特急はほとんど存在しないのではないでしょうか(今の時代では黒毛受精卵産子とかゲノムによる改良とかありそうではありますが。。。)。

フリーストール牛舎での群分けは面倒ですが、一手間かけることで、そのコスト以上の利益をもたらしてくれるようです。

 

↓ソースと絡めているハンバーグ、なまらおいしくできました