乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

高品質粗飼料を用いて高自給率酪農経営

こんにちは。

岐阜に行ってきました。
岐阜大学で日本畜産学会の大会があり、昨年の研究成果を発表しました。

 

今回の発表テーマはオーチャードグラスとアルファルファの混播早刈り一番草の飼料評価です。

このプロジェクトは前職時代から始めており、今年で最終年度の3年目になります。

 

出穂始めでオーチャードを収穫することは、3番草まで(気候が良ければ4番草になるかも知れませんが)刈り取る覚悟が必要になりますが、驚くほどの高品質の粗飼料を採取できます。

 

ルーメン液中で繊維の消化性を見る指標であるNDF240h消化率は、脅威的な85%程度に達します。
通常の牧草ですと60%後半~70%代前半です。

この草を用いると、配合飼料を大幅に減らすことができてIOFC(乳代から飼料費を差し引いた粗利益)は増加します。

 

関東に来て現実を知りましたが、粗飼料の栄養価・品質を自分でコントロールするのは難しいようです。

酪農家は業者に牧草を発注しますが、届いた現物を見るまでは、どのような品質なのかはわかりません。

 

勝間和代さんもおっしゃっていますが、自分でコントロールできないコトやモノはストレスになります。
サラリーマンが組織や上司から押し付けられる無茶振り業務などは典型ですが、粗飼料品質がフタを開けるわからないことも酪農経営にとって小さくないストレスになっているようです。

 

先日訪問した東京の酪農家でも、今のロットと前のロットでは同じ道産チモシーロールなのに月とスッポンくらいの品質差がありました。
そのくせ、値段はほとんど変わりありません。

 

そういった点からみますと、北海道ではせっかく自給で粗飼料を収穫できるのですから、自らの意思で牛にとっても、経営にとってもメリットのある高品質牧草作りにチャレンジしたいものですね。

 

飼料設計の点からも高品質粗飼料があるととても楽になります。逆に粗飼料品質が悪いと、飼料設計を行う際に苦戦を強いられます。

天候の問題はつきまといますが、手間を惜しまず良質粗飼料生産に取り組んでいきたいものです。

 

ちなみに、今回学会で発表した内容ですが、粗飼料比率(=飼料自給率)70%超えで泌乳牛を飼うことができました。ただし、試験に用いたのは泌乳中後期の低泌乳牛群でした。
乳量的には寂しいので、今年はさらに高泌乳牛群で再度試験を実施しています。

 

結果についてはいずれご報告できると思います。

 

↓遠くに見える岐阜城、急峻な山頂にどのように建て、どのように攻防があったのでしょうか