乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

農場調査の作法と経営の多様性

別海町で酪農場調査に赴いてきました。

 

僕自身、酪農場にはこれまで何度も視察に訪れていますが、本格的な経営調査に同行するのは初めての経験です。

 

あくまでも自分は栄養屋ですので、経営の教員とは視点が異なることに驚きました。

また、本格的な経営調査を行うに当たっての段取りの周到さには目を見張るモノがありました。

質問シートの完成度の高さには、同僚のY教授の経験値が見事に集約されていました。

 

資料の準備の仕方、昼食の場所の確保に至るまで、段取り完璧でした。

いかに、普段の自分が行き当たりばったりで仕事をしてきたかを思い知らされた次第です(^^;)

 

今回は、調査というものの作法を学びました。

やはり段取りが大切だということです。

 

調査の初日は搾乳ロボットを導入して集約的に高泌乳路線を歩む酪農家が中心でした。

翌日は、放牧酪農に取り組む酪農家の学習会に出席し、対照的な酪農スタイルに触れました。

 

酪農の奥深さを改めて再認識しました。


施設投資・規模拡大型の酪農、引き算で必要とされていたものを取り除いていくことでシンプル・コンパクトにしていく酪農。

 

搾乳牛頭数が同じ農場の事例ですが、乳量1300トン出荷で所得率23%、750t出荷で所得率36%という牧場がありました。

乳代を115円で計算すると、前者の所得は3,400万円、後者の所得は3,100万円。

大した差ではありません。

搾乳牛頭数が同じであれば、平均乳量が少ない方が管理をしやすいのは事実でしょう。

 

極限まで経費を削減していくと所得率が向上して、手元に残る所得が増加していきます。

 

古くから聞いてはいましたが、実際に目の当たりにすると非常に興味深かったです。

経営の同僚との農家調査によって、また一つ酪農の奥深さに触れることができました。

 

↓ファイターズのエスコンフィールドに併設されているクボタアグリフロントさんで、食育講座の講師を務めてきました。本学の牛乳やチーズを使ったミニお料理教室もおこなわれました。植物工場で作られるレタス、なまら美味しかったです(^^)