乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

栄養学

ハンパない暑さの中、暑熱対策の発表を聴いてきました

今年の日本畜産学会は京都大学で開催されました。 北海道では9月の声を聴くと朝晩は肌寒くなっておりまして、出張前の札幌の最低気温は12℃でした。 朝のワンコの散歩ではついに半ズボンはあきらめて長ズボンにはきかえました。おそらく、この出張から戻った…

AMTSが生まれ変わるそうです

僕はAMTS、NDSという飼料設計ソフトを使っています。 前者の方が使用年数は長く、後者はその良さに惹かれながらも使い方を学んでいる状況です。 これら二つの飼料設計ソフトに共通する特徴があります。 それは、CNCPSという理論をベースとした計算式(モデル…

アメリカ版乳牛栄養学の教科書:NRC2001とNASEM2021

成人男子が1日に必要とするカロリーは二千数百キロカロリーと言われています。 また、1日に350gの野菜を食べましょうという目標値もどこかで目にしたことがあります。 このように、どれだけの栄養を1日に食べる必要があるという値を要求量といいます。 ヒト…

酢酸は乳脂肪を作り、エネルギーとなる

近々、僕が講演をする講習のテーマが「ルーメン(第一胃)と乳成分」の関係についてです。 ウシが乳房で乳成分、特に乳脂肪を作る上で、酢酸という有機酸が重要なカギとなります。 そんなわけで、調べ事をしていて、興味深い論文に出会いました。 酢酸を泌乳…

酢酸は乳脂肪を作り、エネルギーとなる

近々、僕が講演をする講習のテーマが「ルーメン(第一胃)と乳成分」の関係についてです。 ウシが乳房で乳成分、特に乳脂肪を作る上で、酢酸という有機酸が重要なカギとなります。 そんなわけで、調べ事をしていて、興味深い論文に出会いました。 酢酸を泌乳…

オーストラリア人とガチで切った張ったの知的応酬をしました

ひょんなきっかけでオーストラリアの栄養学者チームと輸入乾草の品質についてのディスカッションをすることになりました。 自給粗飼料を中心に扱ってきた自分ですので、相手側からしたら役不足かなと思いながら、軽い気持ちで受けました。 一度ミーティング…

オーストラリア人とガチで切った張ったの知的応酬をしました

ひょんなきっかけでオーストラリアの栄養学者チームと輸入乾草の品質についてのディスカッションをすることになりました。 自給粗飼料を中心に扱ってきた自分ですので、相手側からしたら役不足かなと思いながら、軽い気持ちで受けました。 一度ミーティング…

飼料設計ソフトから正しい回答をもらうためにすること

我が家のムスコ君、毎晩寝る前に明日の給食メニューを見るのが日課です。 「ヨッシャー、明日は大好きな○○だ~」とテンション上げてから床に就きます。 少ない給食費をやりくりして、僕たちが子どもの頃とは比べものにならないほど、美味しそうで、栄養のバ…

飼料設計ソフトから正しい回答をもらうためにすること

我が家のムスコ君、毎晩寝る前に明日の給食メニューを見るのが日課です。 「ヨッシャー、明日は大好きな○○だ~」とテンション上げてから床に就きます。 少ない給食費をやりくりして、僕たちが子どもの頃とは比べものにならないほど、美味しそうで、栄養のバ…

飼料設計ソフトから正しい回答をもらうためにすること

我が家のムスコ君、毎晩寝る前に明日の給食メニューを見るのが日課です。 「ヨッシャー、明日は大好きな○○だ~」とテンション上げてから床に就きます。 少ない給食費をやりくりして、僕たちが子どもの頃とは比べものにならないほど、美味しそうで、栄養のバ…

食えるウシと食えないウシ

ウシは満腹までエサを食べるとルーメン(第一胃)のある左側の腹がパンパンに張ります。丸いお腹になるというわけです。 一方で、腹が減ると、左側の腹がくぼんできます。肋骨と背骨(腰椎)が出っ張って、腹だけが落ちくぼむような見た目になります。 同じ…

中年過ぎたらタンパク質、アミノ酸バランスも意識して摂りましょう

今日は土曜日補講の振替休暇。 大学では、学期内に15週の授業日を確保するために、4月の始業日を早めたり、祝日をつぶしたり、土曜日に補講を入れたりと苦労しながらやりくりしています。 家族の行事にも影響するし、なかなかユルくないです。。。 今日の本…

中年過ぎたらタンパク質、アミノ酸バランスも意識して摂りましょう

今日は土曜日補講の振替休暇。 大学では、学期内に15週の授業日を確保するために、4月の始業日を早めたり、祝日をつぶしたり、土曜日に補講を入れたりと苦労しながらやりくりしています。 家族の行事にも影響するし、なかなかユルくないです。。。 今日の本…

イヌのエサ設計:複数フードを組み合わせて給与

我が家に愛犬ミカンがやってきて、はや3ヵ月がたちました。カミサンはミカンをネコッかわいがり(イヌかわいがり?)しつつも、シツケに余念がありません。 ムスコ君は、毎日のトイレシートと水交換を欠かさずやっていて、生き物を飼うことの責任感がヒシヒ…

イヌのエサ設計:複数フードを組み合わせて給与

我が家に愛犬ミカンがやってきて、はや3ヵ月がたちました。カミサンはミカンをネコッかわいがり(イヌかわいがり?)しつつも、シツケに余念がありません。 ムスコ君は、毎日のトイレシートと水交換を欠かさずやっていて、生き物を飼うことの責任感がヒシヒ…

なぜ母牛は身を削ってでも乳脂肪を作るのですか

牛乳には脂肪が含まれています。 牛乳に含まれる脂肪ということで乳脂肪と呼ばれ、その濃度は乳脂率といって、ホルスタイン種では平均すると4%くらいになります。 乳脂率は乳成分の中でも変動が大きいのですが、3.5%を下回るものから、5%以上まで季節や個体…

厚切りステーキ肉と飽和脂肪酸

最近の僕の流行に、厚切りステーキを焼いて食うというのがあります。 カミサンは牛肉が苦手なので、ステーキを焼くときは僕とムスコでいただきます。 買ってくるステーキ肉は、定番の西友のアンガスビーフ。100gで200円を切るお得なお値段の、真っ赤なUSビー…

外来語、特にラテン語を日本語で伝えるのが難しいのです

外来語を多用するお方は世間様から批判されがちです。 某首都の知事さんなど、コロナ関連の会見では外来語を頻繁に口にします。 僕たちのような研究職は、学生や農家さんの前で授業や講演をするわけですが、外来語や英語表記の略称をそのまま使う方も珍しく…

気温が下がるとエネルギー要求量が増えます

ムチャクチャ寒くなってきました。 子牛試験のバケツの水も凍り始めました。岩見沢では雪が積もっているようです。 寒さに対して、我々哺乳類は、発熱することで対策します。 発熱するためには、体内で燃料(エネルギー)を燃やさなくてはいけません。燃料を…

技術のアップデートを怠るな

乾乳牛の栄養管理について考える機会がありました。 この農場では、乾乳牛の栄養管理については後回しになっており、ここ数年間手が加えられていませんでした。 その牛群では、分娩前後に低Ca血症やケトーシスがポツポツみられています。 かかりつけの獣医師…

技術のアップデートを怠るな

乾乳牛の栄養管理について考える機会がありました。 この農場では、乾乳牛の栄養管理については後回しになっており、ここ数年間手が加えられていませんでした。 その牛群では、分娩前後に低Ca血症やケトーシスがポツポツみられています。 かかりつけの獣医師…

飼料設計と給与法に関する技術書が出ました

今年度2冊目の、僕が監修をした酪農技術書が出版されました。 本書は、飼料栽培や収穫、飼料設計の考え方、乳牛の生育ステージごとの栄養管理のポイント、飼育環境、機械や経営面の注意点など、「飼料設計と給与法」に関する幅広い分野を網羅した教科書にな…

飼料設計と給与法に関する技術書が出ました

今年度2冊目の、僕が監修をした酪農技術書が出版されました。 本書は、飼料栽培や収穫、飼料設計の考え方、乳牛の生育ステージごとの栄養管理のポイント、飼育環境、機械や経営面の注意点など、「飼料設計と給与法」に関する幅広い分野を網羅した教科書にな…

飼料設計と給与法に関する技術書が出ました

今年度2冊目の、僕が監修をした酪農技術書が出版されました。 本書は、飼料栽培や収穫、飼料設計の考え方、乳牛の生育ステージごとの栄養管理のポイント、飼育環境、機械や経営面の注意点など、「飼料設計と給与法」に関する幅広い分野を網羅した教科書にな…

栄養学・飼料学の入門書が発刊されました

ウシの栄養学、飼料学のテキストが発刊されました。 「臨床獣医」という技術雑誌の臨時増刊号です。 「獣医師のための飼料入門(緑書房)」 実は、このテキストの監修は、僕です。人生初の監修ということで、とても楽しい仕事を経験させていただきました。 …

「胆のう」と脂肪の関係

友人が胆嚢(たんのう)炎で入院しました。入院即、手術ということで、緊急性を要するものでした。 さて、胆のうという臓器、あまりなじみがないなあ、ということで少し調べてみました。 まず、胆のうについて知る前に、食べ物の消化について大まかに把握し…

体に良い脂肪の話し:オメガ3脂肪酸

NHKでは定期的に人体の仕組みについての特番が放映されます。 商売柄、楽しみにしていますが、最近のシリーズは食の起源について、TOKIOのメンバーが進行しています。 NHKスペシャル 食の起源 | NHKオンライン 先日の最新版は「脂肪」でした。 番組では体に…

獣医師と栄養学

先週末、札幌での学会参加のため、九州から友人のA獣医師が来道しました。A獣医師の知人のO獣医師も交えて、ススキノで一杯やりました。 彼らは向上心旺盛な“意識高い系”の獣医師で、二人とも仕事をしながら、大学の博士課程で学んでいます。 私も経験しまし…