オルテック・ジャパン社が定期配信しているニースレター『オルテック・アップデート』があります。
今日(3月7日)配信の号に、ウクライナ・ロシア紛争とヨーロッパの家畜飼料についての考察が掲載されていました。
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オルテック・アップデート(2022年3月7日)
★ウクライナにおける戦争は飼料市場にどのように影響するか
“How the war in Ukraine impacts feed markets”
Pig Progress オンライン 2022年2月28日掲載
著者: 飼料市場エキスパート Mathilde Le Boulch氏
翻訳・編集: オルテック・ジャパン 森田真由子
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とても興味深い内容でしたので、引用しつつご紹介します。
こちらの記事によりますと、ウクライナは主要な穀物生産国で、小麦の輸出は世界5位、トウモロコシの輸出は世界4位を誇るそうです。
さらに、ロシアとウクライナは世界有数のヒマワリ生産国で、ヒマワリ油とヒマワリミールの50%以上を輸出している、そうです。
ヒマワリミール(油かす)は、大豆粕同様にタンパク質源として家畜飼料に利用されます。
さらに、これらの大部分が黒海の港から輸出されていることがレポートでは解説されています。
黒海を世界地図でご覧いただくと、なぜロシアがウクライナにこだわるのかがわかります。
位置関係がよくわからない方は、一度ご覧いただくことをおすすめします。
黒海を通ると、地中海に抜けることができます。
そして、その関門がトルコのイスタンブールです。
(なので、トルコも歴史的に重要な国なのですね)
地政学的に眺めると、ロシアがなぜウクライナや、ジョージア、アゼルバイジャンといった周辺国にこだわりるのかが理解できる気がします。
ちなみに、ウクライナの黒海に面した主要な港にオデッサがあります。
ガンダムマニアには、懐かしい場所ではないでしょうか。
地球連邦軍がオデッサを重要視した理由も地政学的なものなのかもしれません。
本題に戻りますが、ウクライナおよび黒海が紛争により機能しなくなると、穀物の輸出が滞るというわけです。
そして、もうひとつ。
天然ガスが、ロシアからEU、特にドイツに大量に輸出されていることは報道でご存知でしょうが、この天然ガスの用途も興味深いものでした。
尿素は、窒素肥料として利用されますが、肥料の価格は2020年夏以降急騰しています。これはガスの価格と緊密に連動しているそうで、尿素の製造コストの推定80%がガスのコストになるそうです。
ロシアからのガスが遮断されると、ドイツをはじめとするEU諸国での窒素肥料の製造も窮地に陥るので、その影響は遠くアジアの日本にも及ぶことでしょう。
ウクライナから輸出されるはずだった穀物は、港の機能が麻痺しているので、ウクライナ国内の倉庫にうずたかく積み上げられているそうです。
現在、わが国では飼料の高騰に加えて、肥料の高騰や品薄(金を出してもモノがなくて買えない状態)が発生しています。
ただでさえインフレの昨今(ガソリンは札幌では174円です!)、この紛争は僕たちの生活に暗い影を落としています。