乳牛と酪農を科学する

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乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

強風のフライト、着陸時に死ぬ思いをしたお話し

今週末は久しぶりの出張でした。

どうしてもこのタイミングで行わねばいけない研究の打合せのため、鳥取訪問してきました。


その後は大阪に移動して、高校生対象の入試説明会でした。

本学に限らず、他大学も含めて、厳格な感染症対策のもと、地方の業務をそろりそろりと動かし始めています。

 

久しぶりの空港は、開店休業か?と思わせるほど閑散としていました。

飛行機内も半分~7割方の搭乗率といったところでした。

 

いつ以来かわからないフライトでしたが、運の悪いことに、この日は日本列島を台風並の低気圧が駆け抜けました。

 

羽田までは何事もなく到着し、鳥取への乗り継ぎ便も飛び立ちました。
問題は、鳥取に降り立つときに訪れました。

 

それまでも、かなり揺れてはいたのですが、タブレットで字幕付きの洋画を見ることはできました。

しかし、着陸に向けて下降しだすと、機体の揺れはハンパないものに変わっていきました。

 

上下に落下しそうになったり、左右にローリングしたり、嵐の中の小舟のような揺れようです。

地面に近づくとさらに吹き荒れる強風のため、機長は着陸を断念して、急上昇します。

機長からは落ち着いた声で、着陸を再チャレンジすると機内放送が流れます。

揺れても飛行に支障はないといわれても、お尻の浮きそうになるくらいの揺れに、僕は両サイドの手すりにしがみつきます。

もう映画を観るどころではありません。

 

ぐるっと回って、再び鳥取の海岸線に上昇した機体は、再度着陸を試みます。
ですが、やはり激しい揺れに着陸断念。

 

再び先ほどと同じ海岸線に舞い戻ります。
僕の記憶では4度同じ行動を繰り返しました。

 

おかげで、鳥取砂丘を何度もみることができました。
砂丘の横には砂地の畑が広がっているように見えました。
「あれはらっきょうかスイカでも植えているのかな・・・」と、船酔いのような吐き気を堪えながら場違いなことをボンヤリ考えます。

 

機長のアナウンスでは、降りれないときは神戸空港に向かうということでしたので、そうなったら陸路で鳥取に向かえるのだろうか?と不安に思いながら、やはり吐き気を堪えます。

 

4度目(5度目?)の下降時に、CAさんから、まもなく着利するのでシートベルトを締めるようにというアナウンスが入ります。
風は緩んだのか?この揺れで本当に降りれるのか?

疑問を拭うことができません。

ものすごい揺れに対して、主翼の方向蛇が上下にめまぐるしく動きます。

着陸の際に横揺れが入ってひっくり返ったりしないだろうかと、いろいろ不安が頭よぎります。

 

その間、時間にして数十秒でしょうか。

ついに、車輪が地面を捉えました。

衝撃と急ブレーキに座席の上に放り投げてあったスマホが床に吹っ飛びました。

 

思わず拍手したくなるほどの機長の判断力、決断力。
これぞビジネスパーソンの鏡。
ビバ機長!

 

飛んでしまえば何があっても大勢の命を引き連れて着陸しなければいけない超絶プレッシャーのかかるパイロットというお仕事に、こりゃ自分には絶対勤まらないと確信します。

 

地上に降り立ってもしばらく船酔いのような吐き気に苦しみましたが、とにかく安心しました。

 

早速、怖かった~とカミサンに泣きの電話を入れました。

ですが、昔、飛行に乗る仕事をしていたカミサン曰く、そんなのたいしたことない、機長はものすごいメンタルトレニーングをしているから大丈夫と、笑い飛ばされました。

そんなものなのか・・・

 

ちなみに飛行機内で観ていた映画は、フランスの植民地で独立を叫ぶ武装集団が、フランス人の子供たち乗るスクールバスををバスジャックしたという実話に基づく作品でした。
特殊部隊の狙撃兵が、武装集団と対峙するという緊迫の映画でした。
悪者として描かれている武装集団の気持ちを思うと、胸が痛くなりました。
「15ミニッツウォー」

15ミニッツ・ウォー - Wikipedia

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