乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

中年過ぎたらタンパク質、アミノ酸バランスも意識して摂りましょう

今日は土曜日補講の振替休暇。

大学では、学期内に15週の授業日を確保するために、4月の始業日を早めたり、祝日をつぶしたり、土曜日に補講を入れたりと苦労しながらやりくりしています。

家族の行事にも影響するし、なかなかユルくないです。。。

 

今日の本題はそちらではなく、ラジオの健康番組で流れてきた、タンパク質摂取と健康の話しです。

 

要約すると、

・日本人はタンパク質の摂取量が少ない

・特に高齢者と働き盛りの男性に、この傾向は強い

・朝、食パン1枚、昼はラーメンてな食事ではタンパク質摂取量が圧倒的に不足する

・年齢とは無関係に、体重1kgあたり1gのタンパク質を毎日摂らなければいけない(子どもも若者も年配者も体格に応じて同じ量を摂る必要あり)

・百歳を超える長寿者が週3回以上摂っている食品ベスト4は4位シャケ、3位トリ肉、2位豆腐、1位豚肉であり、毎日飲んでいる飲料ベスト2は2位牛乳、1位緑茶である

・タンパク質が足りないと、筋力不足となり、転倒から寝たきり、認知症といったような老化を早める(寿命を縮める)原因になってしまう

 

といった内容を、NHK教育ラジオである大学の教授が解説していました(すみません、途中から聴いたのでよくわかりません)。

 

さらに興味深かったのはアミノ酸のバランスや質の話しです。

前提となる情報として、2点頭に入れておいてください。

1 アミノ酸がいくつも連結してできた物質がタンパク質である

2 アミノ酸には体内でつくれる一般アミノ酸と、体内ではつくれないので食事から摂取しなければいけない必須アミノ酸がある

ゲームで考えると、めったに登場しないレアキャラ(=必須アミノ酸)と、やたら出てくる雑魚キャラ(=その他の一般アミノ酸)といったイメージになります。

 

大豆は植物性タンパク質源として優れていますが、大豆のタンパク質だけ摂っていると不足しがちな必須アミノ酸メチオニンがあります。

 

一方、意外かもしれませんが、お米にもタンパク質が含まれています。

お茶碗1杯で、盛り方にもよるでしょうが、5g程度のタンパク質がとれるそうです。

米のタンパク質にはメチオニンはある程度豊富に含まれていますが、リジン(ラジオではリシンといっていました)という必須アミノ酸が不足します。

 

これら、各食材において最も不足するアミノ酸を制限アミノ酸といいます。

リジンが少ないけれどメチオニンが豊富な「米」と、リジンが豊富だけどメチオニンが少ない「大豆」を組み合わせると、お互いの弱点である制限アミノ酸を補うことができます。

この両者の組合せだと、肉や魚と同程度の良質なアミノ酸の比率になります。

 

日本人は、古来、獣や魚といった動物性のタンパク質源をほとんど食べずに生きてきました。
ですが、大豆製品の味噌、醤油で味付けし、納豆、豆腐あるいは油揚げをおかずに、野菜とご飯を食べることで、知らず知らずのうちに良質なアミノ酸バランスの食事を摂ってきました。

米と大豆は黄金の組合せといえるのです。


植物主体の和食は、動物性タンパク質がふんだんにとれませんが、逆に動物性食材の短所でもある脂分の過剰摂取が抑えられるので、理想的な長寿食と考えられます。

 

このラジオ、乳牛の栄養管理をしている自分は興味深く聴きました。

ウシのエサ設計も全く同じ発想だからです。

リジンが豊富だけどメチオニンの少ない大豆粕に、メチオニンが豊富なトウモロコシ由来のタンパク質源であるコーングルテンミールを組み合わせることで、理想のアミノ酸バランスになります。

 

タンパク質が豊富な食品やエサは高価なので、意識して購入・摂取しないと必要な量を満たせません(犬のエサを買うようになってわかりましたが、タンパク質含量と価格は比例しています)。

そうはいっても、お金をケチってタンパク質摂取不足になると、ヒトではフレイルといって筋力低下による健康低下が起こります。

ウシも同じで、周産期などはタンパク質動員によって筋肉量が減少します。

 

意識してタンパク質を摂って(ウシには与えて)、健康寿命を延ばしましょう。

 

↓毎度、栄養バランスが考えられたカミサンの弁当(感謝)

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