乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

お米をウシのエサに?!飼料米という制度

みなさん、おばんでした。

 

楽しい週末を過ごせました。
睡眠時間も十分で1週間の疲れを心身ともに取り除くことができた気がします。運動会が実施されたのかどうかだけが気になりますが。。。

 

明日から長男は宿泊研修で旭川方面。

私は仕事で帯広です。

 

一昨日、長男に妻のスマホあてに手紙を書いて送り、読んでもらいました。その後、彼は面会で不在になってしまったため、読後の反応は分かりませんでした。面会から戻ってからも普段通りの無愛想な長男だったので、さして気にもとめていなかったのですが、彼が先ほど眠りにつく前に「この前のメール、ありがとう、嬉しかった」とひと言もらいました。
ありゃ~、ワシの方こそ嬉しいよ。

こちらが胸襟を開くと、若者は応えてくれるものなのですね。

ホンワカした一瞬でした。

 

↓飼料用トウモロコシ種まき直後の畑 

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今日はお米とエサの話し

 先日、愛知県に出張した際に聞いたマメ情報です。
ここ数年、米農家はヒトの食用米を作る以外の選択肢が増えました。それが、飼料米です。

 

以前は、イネの茎、葉、実全てをエサとするホールクロップサイレージというものが主流でしたが、昨今はお米のみをエサ利用するスタイルが広まりつつあります。

愛知県で聞いた話しでは、ヒト用のコシヒカリの価格がどんどん下落しており、米農家は収入が激減して困っています。
一方で、飼料米を作ると1反歩当たり10万円程度の補助金が支給されます。1ヘクタールの作付けだと100万円になります。この制度は先の民主党政権時代に創設されたものです。

 

最近の食用米価下落のため、これまでは大豆など別の作目に転作する農家さんが増えていました。これにも補助金がつきますが、エサ米を作った方が儲かるというケースが出てきたそうです。

そこで、コシヒカリ飼料米として収穫したいのだけれども、地域の畜産農家の方で飼料米の給与経験がないため、今のところは試行錯誤をしているという話しでした。

獲れた米をどのように加工したら家畜の生産性が上がるか、どのように流通させたら輸入穀物よりも安く、安定した飼料源となるか。

 

山形県などは飼料米の取り組みが早くノウハウが蓄積されていますが、新規に取り組む地域はシステムの立ち上げに困難しているようです。北海道も経験が乏しく、基盤整備が続けられています。

栄養があって余っているからエサとして使ってよ、と言われてもハイそうですかとはいかない制度的、技術的な壁がいくつもあるのです。

 

最後に、そもそも論ですが、せっかく投資をして米農家、畜産農家、間に入る関係機関や業者、それぞれにメリットとなるシステムを構築したとしても、この補助金がなくなると飼料米システムは破綻してしまいます。

 

このシステムは根っこのところで綱渡り状態を強いられます。ただ、この補助金のおかげで離農せずに頑張ろうという米農家がいることも事実でしょう。

何が正しくて、正しくないのか、難しい問題です。