乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

管理乳量が上がってきました

今年、何度目のドカ雪だろうか。。。

小学校は、ドカ雪による臨時休校になりました。
昨日は登校時間を繰り下げて、午前だけの短縮だったけど、今日はついに休校。

札幌は雪に埋まってしまいました。

僕も予定していた、本州から講師を招いての飼養管理に関する学習会を急遽キャンセルしました。

 

もし、この時期にオリンピックがあったら、どうなってしまうの??

市民の除雪そっちのけで、IOCの方々のために雪をかいてあげるのでしょうか。

 

さて、ドカ雪話はこれくらいにして、今月も牛群検定がありました。

牛群検定というのは、毎月一度の牛乳生産のレポートです。

 

北海道酪農検定検査協会という組織で実施されている、有料サービスになります。

乳量、乳成分、繁殖など、酪農経営に関するあらゆる情報が網羅されたレポートです。

 

エサ設計を担当する身としては、この月一の報告を見て一喜一憂するわけです。

 

ウシは分娩後、1~2ヵ月で乳量が最大となります。

その後は、徐々に乳量が減少していき、1年弱で搾乳を停止しても問題ないくらいの乳量にまで減っていきます。

 

牧場には、分娩したてのガンガン乳の出る牛から、泌乳後半の低乳量牛まで幅広く在籍します。

 

したがって、牧場の牛群の平均乳量を見るときは、その牧場のウシたちの平均分娩後日数(別の言葉では平均搾乳日数)を注視する必要があります。

 

乳量が少ない牧場だなと思っても、分娩後日数が長い、つまり泌乳後半のウシが多い牧場だとしたら、それはウシの自然現象で仕方ないということになります。

また、これだけ長い分娩後日数でこの乳量なら、泌乳最盛期ならかなりの乳量が出ていただろう?と思ったりするわけです。

つまり、単純に実際の乳量だけを見て、その牛群の真の実力を測ることは難しいことになります。

 

そこで、登場するのが管理乳量です。

 

管理乳量は、牛群の産次(子を産んだ回数、こちらも乳量に影響します)を2産、分娩後日数を150日に換算したときの乳量になります。

 

どこの牧場や牛群でも共通に比較できるように、乳量以外の条件を一定に揃えて計算された値というわけです。

 

本学の牛群、最近は分娩後日数が伸びてきており、実乳量は微増なのですが、管理乳量は着々と伸びてきています。

分娩後日数が伸びているのに、わずかでも乳量が増えているということは、その牛群の乳量が着実に増えていることを示しています。

 

そんなわけで、エサ設計でいろいろと手を加えてきた成果を実感できています。

 

飼料設計だけで改善できるのは、乳量全体のほんの一部というのが僕の認識ですが、それでもこのような成果が出るというのは嬉しいものです。

 

↓雪で歩道が消えました

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