乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

粗飼料生産の効率化と品質向上:アメリカ編

アメリカの酪農研修に参加しています。


会場となっているのは、我々業界人にとっては、その名がとどろくウイリアムマイナー研究所です。


論文や海外の酪農情報で目にする著名な講師陣が、研修を取り仕切ってくれています。

研究所は、本学と同様に畜舎や圃場に囲まれた中に施設が位置します。

 

訪れた初日、送迎の自動車を降りてまず目に付いたのが圃場。


アメリカの粗飼料生産、興味津々で圃場に向けて歩を進めます。

草地では青々としたイネ科牧草とアルファルファの混播草地が広がっていました。

 

ですが、近くで見ると牧草の上端がカットされた、妙な状態です。

すぐにピンときました。

 

これが噂の高刈りか、と。

草高を計ってみると35センチ。

研究所のグラント博士に聴いてみると、ちょうど先週刈り取ったばかりとのこと。

 

その後の研修で粗飼料の品質や給与法について話題提供がありましたが、繰り返し強調されていたのが、牧草の消化性でした。

曰く、繊維の消化性を高めて、粗飼料からエネルギーを得るかが重要だと。

 

その意味が、刈り取らればかりの草地をみて結びつきました。

 

本学では刈り取ったあとの草地は、枯れた芝生のようになります。

これは、牧草を地際から刈り取っていることを意味します。

 

こちらでは、刈り取った直後でも緑の牧草地が広がっています。

高刈りのため、1番草収穫の28~30日後に2番草を収穫することができるそうです。

 

北海道と気候の似ている東アメリカ北部のニューヨーク州ですが、3回刈り、4回刈りが標準のようです。

 

トウモロコシは、不耕起栽培で、昨年の切り株が立ち枯れ状態で残っています。

こちらも高さを測ると35~40センチ。

不耕起播種で効率化しつつ、消化の悪い、堅い繊維部分は収穫しないという発想が徹底されていました。

コンフォートゾーンを抜け出ると学びや気づきを得ることができます。
それが海外だと、その度合いは倍増するようです。