乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

アメリカの酪農学会と人種差別問題

アメリカでは、白人警官の黒人市民への暴動が大きな問題に発展しています。
そのような中、僕が所属するアメリカ酪農学会のプレジデント(会長)から、電子メールが届きました。

 

「Special Message from ADSA President」という声明文です。

 

内容を抜粋すると以下のような感じになります。

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・私は、(亡くなった)ジョージ・フロイドさんやその家族、その他、多くの人種差別によって苦しんでいる人々のことを思い、胸を痛めている

 

・私たち酪農科学者は、人種、性別、民族、性的志向、年齢などに関係なく、全ての人々が、経済、栄養、そして健康を満たすことができるように、(酪農生産に対して)英知を結集します。

 

・私たちは、黒人や少数派(underrepresented minority)の仲間たちが、酪農科学の分野で公平なチャンスを得られるように努めなければなりません。

 

・以上のことは、長い旅路の小さな一歩かもしれないが、私たちは挑戦していくことを約束します。ぜひ、みなさんも賛同いただき、フィードバックしてください。

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日本では、日常生活において、政治の重たい話しをすることはなんとなく避けられます。

学生や我が家の子供たち世代から、政治の話しがでてくることはまずありません。

 

「アベノマスクが~」、「トランプが~」、「北朝鮮が~」といった体制批判を対岸の火事的(ワイドショー的?)にすることは、そんなに珍しいことではありません。

 

ですが、自分が当事者になっているかもしれないことや国民生活の暗部について、おおっぴらに議論することは珍しいことかもしれません。

 

それが、酪農学会が声明を発するというあたりに、アメリカの民度の高さを感じました。

 

この声明文、裏読みすると、アメリカの酪農科学の研究現場で、人種差別が現実に存在すると言っているようにもとれます。
「人種差別をなくすのは “small steps in this long journey” だけれども、私はあきらめない」と、学会長が宣言しているからです。

 

私も、アメリカやヨーロッパでは、現地のヒトから日本人ということで小バカにされたことが何度もあります。

 

これ以上のコメントは控えますが、今日はアメリカ酪農学会プレジデントからメールが来たという、紹介でした。

 

↓実習でブラッシング

「気持ちいい~」という声が聞こえます。

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