乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

羊肉を食いながら、肉食系の生き方の価値を考えた夜

私は学生時代、めん羊を使って研究をおこなっていました。


札幌育ちの自分にとってジンギスカンはカレーやハンバーグのように、親しみある料理のレパートリーの一つでした。
タマネギやモヤシとともに炒められるラム肉。
これがあれば何杯でもご飯を食べることができました。

 

今は乳牛の話ばかりしていますが、めん羊は私にとってなじみ深い反芻家畜です。

 

北海道でのめん羊飼育は、明治の開拓時代、対ロシアの北方警備の重要度が増す中、防寒軍服開発のために羊毛の増産が必要になったことに端を発するとされます。

毛をとるだけでなく、肉も食べようということで、ジンギスカン料理が普及し始めたということです。

 

ここで話はがらっと変わりますが、昨日から、私の研究室に宮崎県の獣医師A先生をお招きして学生の卒論研究の指導をいただいています。

 

彼とのつきあいは、ある意味、ビジネス交流の成功例だと思えるのでご紹介します。

 

数年前、私は宮崎市で招待講演に招かれました。

その講演に、A先生がいたのです。

A先生は、私の論文を読んでくれていて、自身も関連した研究を続けていたこともあり、積極的に会いに来てくれたそうです。そんなことは全く知らない私でしたが、講演会場でA先生が質問してくださり、名刺交換をする中でそのようなお方だと知りました。私のニッチな研究に関心を抱いてくれている人がいることに感激しました。

帰り際、私もいつか訪ねるのでA先生の研究を教えてくださいと言って、その日は別れました。

 

普通ならそこで終わるところですが、ほどなくしてA先生からご自身の研究成果の発表スライドが送られてきました(講師に自分の研究スライドを送るというのは珍しいことですよね)。スライドを観ると、とても興味深い内容だったので、ぜひ実際に研究の現場を観たいという思いが募りました。そこで、私の方から打診して、その年の冬に学生を連れて再度宮崎県を訪問しました。ライブで観る、A先生の研究手法はとても刺激になりました。

 

その後、日本畜産学会でご一緒したりと交流を続けてきましたが、今回は私の方から大学で一緒に研究をし、学生への指導をお願いしますと持ちかけて、A先生の来道が実現しました。

忙しい仕事をキャンセルして、実験の時間を作ってくれたA先生に感謝の気持ちでいっぱいです。

 

そこで、冒頭に戻りますが、昨日は九州人のA先生を本場のジンギスカン屋にお連れしたというわけです。

時間がどうしてもとれなかったので、店のチョイスは妻にお願いしました。


結果的に、そのチョイスが大成功でした。

訪れた店はコチラです。


めんよう亭 五条店

 

店を入ると気合いの入ったおかみさんが、羊肉の塊を包丁でひたすらスライスしています。
生でも食べられそうな、手で切った厚切りの肉を皿に盛ってくれ、野菜はボウルからジンギスカン鍋にどさっと山盛りに入れてくれます。とても雰囲気のある、場末感満載の店でした。

店の存在自体は学生時代から知っていましたが、長続きしている理由がわかったような気がします。

 

目の前ではファイターズ戦で大谷選手のラスト登板がテレビで放映されている一等席でした。

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A先生と、人生のこと、仕事のこと、大いに語り合えた素敵な時間でした。
ジンギスカン鍋をつつきながら、A先生との出会いについて考えました。
私たちのどちらか一方が少しでも社交辞令的な消極的接し方をしていたら、交流は途絶えたでしょう。

この人は!と思った人には実際に逢いに行く、ビジネスだけでなく、人生を豊かにする秘訣かもしれません。