酪農女性サミット2017というイベントが札幌で開催されました。
100人以上の参加者で、4分の3が女性というイベントでした。
私は、本学に勤める20年前に酪農場で実習生として勤務していました。
私の牧場の親方は先進的な考えの持ち主でしたが、農村には「男社会」という古い体質があることを知りました。
妻は北海道の地方農村出身ですが、古い村社会の体質が好きではないと語ります。
ステレオタイプに当てはめることを私は良しとしませんが、酪農業界に生きる女性は多かれ少なかれ窮屈な思いや、閉塞感を感じていることは事実なのだと思います。
北海道の道東出身の作家、桜木紫乃さんの小説にも酪農の盛んな地域で男社会に振り回される女性が度々登場します。
今回、そんな酪農業界に生きる女性が一堂に会するサミットが開催されるということで、私も参加を申し込みました。
私の教え子には、男女を問わず酪農業界を志望する学生が多いので、常々「男社会」という古い考え方ではこの先やっていけませんよ、ということを伝えたいと思っているからです。
酪農の技術系セミナーで満員御礼で申し込みを断られるということを、私はこれまで経験したことがありません。ですが、今回はなんとかキャンセル待ちで会場に潜り込むことができました。それほどまでに、このイベントが注目を集めていたことになります。
後半に行われた3人の酪農女性による講演には心を揺り動かされました。
彼女たちから受けた気づきに次のようなものがありました。
- 「(子牛の)育成の差は経営の差」
→子牛の育成技術のうまい下手が経営を直接的に左右する。 - 「明日から何かできることを始める」約束してくださいね
→自ら変わり自己成長する姿勢、実行する力の大切さ。 - 「仲間が背中を押してくれたので、一歩を踏み出すことができた」、「学習会で学んだことを自分の農場に取り入れる。学習会で見たあこがれの地に実際に行ってみる(しかもアメリカ)」
→こちらからも女性たちの共感力や実行力が伝わってきます。 - 「他人のせいにしない。自分が変われば周りも変わる」、「私はスーパーポジティブ」、「叱られたからそこに行きたくないとは思わない。逃げずにむしろ積極的に訪れて、コイツはできるということを認めさせるまで通い詰める」
→素晴らしい!の一言。学生と変わらない年代の女性酪農ヘルパーから出た言葉に雷に打たれました。
↓若者がなかなか言える言葉ではないとうなりました。
- 「感謝」
三人三様でしたが、前向きで、自分が変わることに抵抗がなく、すぐやるという行動力があり、自分で決められる強さを持っている、という点は共通していました。
前向きで心に迫る言葉の数々は男性陣を前に同じ内容の講義をやってもらいたいと思える好内容でした。女性が主役のセミナーは初めての参加でしたが、いつもの男ばかりのセミナーと比べて明るく、共感力にあふれていることに驚きました。
男は肩書きと過去に生きる。
女は仲間と今そして未来に生きる。
こんなことを思いながら、会場全体に充満する元気を胸一杯に吸い込んだ数時間でした。