乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

議員の海外視察に思う

1/29付の道新を読んでいて、海外がらみの二本の記事に目がとまりました。

 

一つは、「公費での議員海外視察、どう思いますか」
もう一つは、「アジアのスキー熱取り込め」
の、二本です。

 

一つ目は、よくやり玉に挙がる問題なので、中身はご想像が付くのではないでしょうか。
モニターへのアンケート調査の結果は、

反対64%、どちらでもない29%、賛成7%でした。

 

私は、ここ数年、年に1~2度海外に出張しています。
国際学会だったり、酪農現場の視察だったりです。

 

行くたびに、多くの刺激を受け取り、日本との違いについて、考えさせられます。

考え方、文化、歴史、インフラ、食べ物、自然、もちろん酪農、様々な点で日本と外国は異なります。

 

現地で得た学びを、すぐに研究や教育に活かせるケースがあります。
一方で、外国で得た刺激がじわじわと熟成して、私自身の人間力の成長に結びつく、といった、口では言い表せない効果も、数限りなく経験してきました。

 

帰国後、すかさず実用化できる学びと、その人の今後の価値観に影響を及ぼすような、間接的な学び、その比率はどれくらいでしょうか?

 

はっきりとは言えませんが、サッカーのフォワードが得点する確率や、野球のバッターの打率のようだといえば、おわかりいただけるのではないでしょうか。

 

多くの空振りや凡打がある一方で、時たま会心の一撃がある。
しかし、打たないことには、絶対にその一撃を得ることはできない。

 

私は、議員の海外視察についても、同じように考えます。
原理原則的に反対し、旅費を削るのは簡単です。


しかし、政策を打てるような立場にいるであれば、確率は高くないかもしれませんが、海外で取り組まれている有益な取り組みを、私たちの生活に活かしてくれるかもしれません。

公費視察を禁止してしまえば、その可能性は限りなくゼロになるでしょう。

 

同じ日の、別紙面に、スキーを通じたアジアからの観光客を取り込むために、日本だけでなく、中国やヨーロッパも含めて、奪い合いの様相を呈している、という記事がありました。

 

この特集では、元プロスキーヤーの皆川さんが、海外のスノーリゾートについてのコメントをしていました。

これなんか、議員が適しているかは分かりませんが、予算を動かせる、施策を打てる立場の人間が、現地に視察にいって、情報を得てくる価値は高いと思えました。

先進事例の良いところを真似することは、観光の魅力を向上させる、手っ取り早い方法です。


ヨーロッパ諸国まで参戦しての、観光客の奪い合いですから、ボヤボヤしていたら後れをとってしまいます。

 

議員の公費視察、私は、議員に与えられた予算内で可能ならば、否定する立場ではありません。

・・・と、あえて議員視察を肯定する論調で、今回は書いてみました。

 

ただし、私とて、渡航時は毎回エコノミークラスです。
限られた旅費なので、宿泊もチョー安宿を必死に探します。

一部の議員センセイに見られるような、観光と間違えそうな大名旅行は、市民の理解を得られなくても、当然でしょう。

 

議員のみなさんは、健全な理由があるのであれば、堂々と、かつ謙虚に、行ってくれば良いのではないでしょうか。

 

↓マレーシア酪農(台湾人の友人より)

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