卒論実験に時間を取られすぎて、週一の更新ペース。
忘れ去られないように、たまには更新しましょう。
先月の北海道を襲った大地震。
ブラックアウトによって、あらゆる流通がストップしました。
酪農業界でも、ご多分に漏れず、電気がないことから搾乳ができず大混乱となりました。
現在の酪農は、手搾りなどしているところはほぼありません。
ミルカーという機械を使って乳を搾ったり、搾乳ロボットがヒトに代わって乳しぼりをしてくれます。
いずれも電気が必要です。
停電でしたが、農家単位で見ると、ガソリンや軽油を燃料とする発電機を使って、搾乳機械を動かすことは可能でした。
搾った牛乳を冷やすことも可能でした。
さて、搾られた後の牛乳はどうなったでしょうか?
ほとんどの乳業メーカーは、停電によって操業がストップしてしまいました。
私が知る限り、ただ1社の工場は発電機があり、生乳の受け入れが可能だったようですが、多くの工場では受け入れができませんでした。
そのため、酪農家は、搾った牛乳を引き取ってもらえないため、捨てざるを得ませんでした。
この出来事が、酪農業界では問題となっています。
莫大な投資が必要とのことですが、乳業メーカーは独自に発電施設を導入して、ブラックアウト時でも牛乳を受け入れる体制を整えるべきである、という論調が高まっているのです。
さて、私は地震の際は、国外にいたため、暮らしの様子は妻や同僚からの伝聞しか分かりません。
大停電で、信号が停止したため、自動車の運転はほんのわずか先まで行くにも長時間を要したそうです。
小売店は、停電で冷蔵、冷凍庫が稼働しないため、大量の廃棄物が出てしまいました。当然、陳列ケースは空っぽです。
家庭も同じで、冷蔵庫の中身が腐る前に処分するので必死だったようです。
そのような中、仮に乳業メーカーの工場が発電機を使って稼働し、酪農家から牛乳を受け入れたとしても、パック詰めした牛乳の持っていき場所があったのかな?、と単純に疑問が生じました。
牛乳パックに詰めても、それを運ぶトラックがない。
トラックがあっても、受け入れてくれる小売店がない。
小売店があっても、家庭の冷蔵庫で冷やすことができない。
全てがブラックアウト。
チーズなどの固形物に加工して、冷蔵保存しておくことはできるかもしれませんが、保存場所や在庫管理の問題があるでしょう。
一部、北海道内では流通に乗せられないので、船便で生乳を本州に送った事例はあるようです。しかし、これもあくまでニッチな話しでしかなく、全道の牛乳を全て本州に送るのは不可能です。
せっかく搾った牛乳を捨てなければならなかった酪農家のつらい気持ちは、とても理解できます。
同じ時、野菜農家では、出荷ができなかったために野菜が大きく育ちすぎて、規格外になってしまい、売り物にならなかったという事実もありました。
地震後に訪れたケーキ屋さんでは、仕込みに使った食材を捨ててしまったという話しも聞きました。
工夫や努力、対策は当然必要ですが、困ったときはお互い様。
仕方ないですませなければならないことも、あるように思います。
北電を始め、大企業になればなるほど、何かあったときの叩かれ用には厳しいものがあります。
ですが、新たな対策に要する企業のコスト負担は、巡り巡って消費者価格にしわ寄せとなって覆い被さります。
理想と現実、なかなか簡単ではないように思います。