乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

インビトロ培養という実験手法があります

大変ご無沙汰しております。

今日は推薦入試業務で大阪に来ています。

入試は明日なので、久しぶりにゆったりとした時間を過ごせており、ブログに向かう時間も取れました。

 

この5月にフィールドセンター長、いわゆる農場長に就任して、本当にいろんなことがありました。

 

内部の経営や労務に関することなのでブログに書けないことが多いですが、一生懸命しようとすればするほど、時間と気力が奪われていきます。

でも、僕が現場目線で、現場の気持ちに共感して改善に取り組んであげることで、現場のスタッフの働く環境は良くなっていきます。

それを思うと、一肌脱ぎ甲斐もあるというものです。

 

こういったことに加えて、2000年に建造された大学牛舎が老朽化しており、その更新も大きな検討課題になっています。

こちらは、夢を形にしていく楽しい業務ですが、金策やプランニングなど、なかなかに重たい検討課題です。

 

大学教員としての本来業務に加えて、センター長業務、なかなかに時間の捻出が困難ですが、M大師匠曰く「(今の僕は)人生の最盛期」という年齢ですので、乗り越えていくしかないと思っています。

 

さて、こんな日々を過ごしながら、卒論研究も当然のことながらやっています。

今年の卒論研究の一つでは、ある酵素製剤の評価をするために、インビトロ培養試験を行いました。

 

僕の分野でインビトロ培養試験という場合は、ルーメン液を用いた試験管内での消化試験を指すことが多いです。

 

この実験をするに当たって、まずは牛のルーメン液を採取してきて、試験管に液を入れます。
さらに、人工唾液という緩衝液と牧草などのサンプルを入れて、二酸化炭素を吹き込んで栓をします。培養時間を変えたり、処理を施すので数十本の試験管になります。

それらの試験管を38度程度のお湯の中に並べて浸しておくというのが、インビトロ培養消化試験の概要になります。

 

嫌気状態の試験管をぬるま湯につけて置くと、ルーメン液中の微生物は死なずに活動を続けてくれます。

彼らは牧草などのサンプルをムシャムシャ食べていくので、どんどん消化が進みます。

試験管内に酵素を入れたり、牧草の品種を代えたりすることで、サンプルの消化を評価するという研究です。

 

今回用いた酵素製剤ですが、興味深い結果を得ることができました。

結果について、守秘義務の関係がありますので、現段階ではお知らせすることはできません。研究が完結して、公表可能になった段階でご紹介できるかもしれません。
その時をお楽しみにお待ちください(じらすようでスミマセン、笑)。