今日の札幌の最高気温は何度だったのかな。
28度くらいでしょうか。
ここ最近は乾燥しているので、暑いながらも過ごしやすいです。
さて、乳牛が夏バテをする話しをここ最近何度かしてきましたが、一般には20℃を超えるとウシは暑熱の影響を受けるといわれています。
ウシは4つある胃袋の第一番目の胃(ルーメン)で、食べたエサを発酵して、栄養素を吸収します(厳密には微生物に発酵してもらいます)。ヒトは消化管内で食物を発酵するのではなく、消化酵素で食物を消化し栄養素として吸収します。
ウシはヒトと違い発酵という武器を持っているため、堅い草でも栄養とすることができます。しかし、暑い夏には、この武器が両刃の剣となり夏バテをもたらします。
エサがルーメンの中で発酵する時に熱を出します。
発酵熱です。
ウシの平熱は38.5度くらいあり、われわれヒトよりも高いです。これに加えて、ルーメンの中の発酵熱が加わるので暑さでバテてしまうのです。
腹の中にホカホカと湯気を立てる湯たんぽを抱えているようなイメージでしょうか。
そりゃあ暑いですよね。
発酵熱はエサの種類によっても異なります。
穀物のように消化の良いものは食べてから短時間で発酵し、さっと発酵が終わります。一気に発酵熱が出るパターンです。
一方、牧草は繊維質が堅いのでじわじわと長時間発酵が続きます。つまり、発酵熱も長時間続くことになります。
したがって、北海道の栄養設計では強く意識したことはありませんが、暑熱下では発酵熱をあまり出さないエサ設計が夏バテ予防には必要になってきます。
酪農家は、栄養面以外でもウシの暑熱ストレスを取り除こうと知恵とお金を使います。
牛舎内には巨大な扇風機(送風機)が何基もぶら下げられています。最近は本州に限らず、本学を含めた北国北海道でも標準装備になっています。1基十万円~数十万円する高価な扇風機が何基もぶら下がっているのは、ウシの暑熱ストレスを軽減するための酪農家の投資です。
↓これは愛知県の酪農家です。北海道もこれに近い感じになってきています。
ウシのストレスを軽減することは、カウコンフォート(ウシの安楽性)といってとても重要な考えです。カウコンフォートについては、日を改めてご紹介します。