おばんです。
私の専門は乳牛の栄養学です。研究と業務の双方にまたがる大事な仕事が乳牛のエサ設計(レシピを作ること)です。
今日から何回かエサ設計についてまとめてみようと思います。
エサ設計の基本は
ウシが必要とする栄養素を過不足なく与えることです
みなさんは毎日何をどれくらい食べますか?なぜそれを食べるのですか?それを食べる基準はありますか?
おいしいからといって、甘いお菓子ばかり3食食べるヒトはいないですよね。ダイエットなどの特別な場合を除き、毎食必ず食べる栄養素があります。それはデンプンです。
今日の昼はカップラーメンで済ませた。今朝はパンを食べた。昨日は牛丼を食べた。これらには小麦粉や米といった、いわゆる”主食”が含まれています。納豆ご飯やタマゴ掛けご飯などは、手っ取り早く”主食”を腹に入れるためのレシピです。ヒトは無意識のうちに、最低限主食だけは食べようとします。
主食は言い換えると炭水化物になります。もっと具体的にいえば、ヒトにとっての主食とは炭水化物の中でもデンプンにあたります。
それでは、なぜヒトはおかずを食べなくても主食であるデンプンを食べようとするのでしょう?
デンプンは、ヒトをはじめ多くの生物にとってエネルギー源だからです。デンプンがあるおかげで、ヒトは様々な生命維持活動のためのエネルギーを獲得することができています。
それでは、ウシにとっての主食、すなわち主要なエネルギー源は何でしょうか。それは、当然ながら、草です。
草にも炭水化物は含まれています。しかし、それはデンプンではありません。草に含まれる炭水化物は繊維質です。
したがって、ウシの主食を栄養素で表すとデンプンではなく、繊維質ということになります。
デンプンと繊維質の違い?
ヒトの主食であるデンプンとウシの主食である繊維質、決定的な違いはエネルギー含量(濃度)です。
デンプン源としての代表、お米と、繊維質の代表、牧草、どちらがエネルギー含量が高いでしょうか。パッと考えれば、草よりご飯の方がエネルギーが多く入っていそう、と感じますよね。
それでは、米袋に入ってる生のお米と炊飯器で炊いたご飯、どちらがエネルギー含量が高いでしょうか。生米よりも、炊いたご飯の方がエネルギーがありそうだけど、元は同じ米なのでエネルギーも同じだけ含まれていそうにも感じます。
長くなりましたので、答えはこの次にしたいと思います。