乳牛と酪農を科学する

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乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

ウンコの話し:ウンコは消化されなかった食物の残りかす

今日は午後から半休をとって北海道神宮祭に行ってきました。

札幌ススキノの南に位置する中島公園にお祭り会場はあります。
私は子供の頃からこの祭りが大好きです。札幌では祭りが終わると学校の制服が夏服に切り替わり、本格的な夏が到来します。


久しぶりの祭りでしたが、露店はもちろん見世物小屋やお化け屋敷、曲芸オートバイショーと40年前を何ら変わらない風景でした。ここだけは時代が止まったような空間で、そこを当時の自分のような4歳の次男と歩いていることに不思議な感覚に陥りました。タイムマシンに乗って時をさかのぼったような、とでも言えばよいのでしょうか。。。

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さてさて、金曜日はその次男が幼稚園から絵本を借りてくる日です。
彼の趣味は最近は恐竜ですが、もう一つ、人体にも興味を持っています。
そんな彼の今日のチョイスはウンコに関する本でした。

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昨日の栄養学にも関連しますが、私にとってウンコは身近な調査、サンプリング対象です。
ウシのウンコの量を測定することで、食べたエサがどれだけ消化されたかがわかります。
たとえば・・・


1日で10kgのエサを食べたウシが、2kgのウンコをしたとします。
そうすると、10kg-2kg=8kgとなり、8kgがウシの体内に消化・吸収されたことになります。栄養素が吸収されるのは小腸でしたね。

10kg食べて8kg消化されたとすると、このときの消化率は80%になります。

ウシの場合、消化されないで排泄されるものは、堅い繊維質のようなものが一般的です。繊維質がメインのウシのウンコはそれほど匂いがしません。

 

小腸を通過したどろどろの消化物が、大腸から直腸に到達すると徐々にウンコに変わっていきます。大腸以降では、繊維質を栄養源としていわゆる善玉菌が増殖し、水分も適度に含んだふんわりと堅いウンコが作られます。

 

穀物を多く食べさせると、第一胃や小腸で消化・吸収しきれなかったデンプンが大腸に大量に流れ込みます。そうすると、大腸内の微生物によってデンプンが発酵します。デンプンの発酵によって酸が生成され、大腸内のpHが低下します。pHが低下すると善玉菌は生息できなくなり、大腸内は悪玉菌優性の不健康な環境になります。結果的に、イヤな匂いのべちゃっとしたウンコになります(絵本ではウンピまたはウンニョとして描かれていました)。

 

エサを食べる量が少ないと、そもそも流れてくる食物残渣物の量が減ります。大腸内で作られるウンコの量も少なくなります。ウンコはところてんのように押し出されるので、次に続くウンコが少ないと大腸内にとどまる時間が長くなります。そうしている内に水分がどんどん吸収され、カチコチの堅いウンコになってしまいます。そのようなウシのウンコは、ポロポロとした石ころのようになります(絵本の中ではウンゴ)。

 

とまあ、私は学生と一緒に日々こんなことも研究していますが、今日の絵本にはヒト版のウンコ話が描かれていました。
次男に読み聞かせをしながら、ウシでもヒトでも栄養学の基本は同じだと再認識しました。


今日はお祭りで買い食いして、いつもより多く食べちゃったので、明日は多めのウンコがでるような気がします。
ウンコは、私たちが食べたものの中で消化されずに出ちゃうもので、これが出ないと生きていけない大切なものですよ~(^^)