今日は農場の技師たちと十勝清水にある巨大な酪農場を視察してきました。視察のテーマは「農場HACCP」です。
農場HACCP
農場HACCPとはこちらに詳しく説明があります。HACCPはハサップまたはハセップと呼びます。
農場HACCP認証制度というものが、農水省によって定められています。安全な家畜・畜産物を生産するための衛生管理システムを構築し、それを運用する農場を認証する制度です。企業などで導入されているISO22000が農場HACCPのベースになっています。
この認証を取得した農場では、①原材料や飼料が安全であること、②農薬や薬剤が適切に管理使用されていること、③伝染病や天災などの緊急時の備えができていること、④危害をもたらすであろう要因の分析をして重点的に管理するポイントが定められていること、⑤問題が生じた際の再発防止対策が適正に実施されること、などが求められます。
私たちの農場でも農場HACCP認証を取得するために準備を進めており、泉も農場HACCPの指導員および審査員養成研修を受講しました。今回の出張は、農場HACCP認証を取得した先行農場から、認証取得に関するアドバイスや苦労話を聞くことを目的としました。
農場HACCP認証のメリットは、その農場で生産される畜産物の生産工程が明確になり、食品の安全が確保されることです。これは生産する側の農場だけでなく、購入する側の消費者にとっても安全・安心が保証されることになるので、双方にとってのメリットと言えます。
この認証をとるためには、作業手順や原材料や薬剤の管理リストを文書化し、あらゆる作業や処置、会議の記録を残すことが求められます。
現場で働く技師にとっては手間が増えて面倒ですが、こういった手順をきちんと実施することで、安全安心を保証でき、学生の教育にもプラスになります。そういった狙いで、本農場でも取得を目指しています。
現地で得られた情報としては以下の点が上げられます。
- 農場HACCP導入に当たって、スタッフ間のコミュニケーション・連絡に関する様々な工夫が取り入れられた
- 薬品や注射針といった食品に混入しては重大な危害となりうるリスクを徹底的に低減することができた
- 認証取得後も、コンサルタントを交えた定期的な検証、見直しによって、改善が着々と進んでいる
これらは、多数のスタッフが営農に関係する雇用型の農場(逆は家族型の農場)にとっては大きなメリットになります。
私たちも、早速明日のミーティングで農場HACCPについて議論することになりました。
出張の副産物
出張は公用車で、往復の移動だけで6時間くらいかかりました。長時間の移動は疲れますが、逆にこれだけの時間、雑談も含めて技師たちと会話をする時間は宴会以外ではとれません。しらふで、建設的な意見を出し合ったり、ワクワクする計画を立てたりと、有意義な車中でした。
私の好きな言葉に「無用の用」があります。
今回はこの言葉がピッタリ来る時間でした。
清水町のラーメン屋もおいしかったです。私の実家と同じチェーン店だったので、とても懐かしかったです(笑)。