乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

農場HACCP認証農場の審査をしてきました

農場HACCP認証を取得した、養豚農場の、更新審査に行ってきました。


更新審査とは、農場HACCP認証を取得してから、3年後に受ける審査です。
これに合格すると、さらに3年間、認証期間が延長されます。

 

今回、私が行ったのは、現地審査と呼ばれるものですが、その前に、文書審査がありました。

文書審査では、あらかじめ、農場から、分厚い資料が送られてきて、その予習をおこないます。

3人の審査員チームで、その文書をチェックし、整合性のとれない箇所については、先方に指摘します。農場サイドは、現地審査までに、その宿題に取り組み、改善案を提示してなくてはいけません。

 

今回、私たち審査員チームは、現地に赴いて、宿題が修正されているか、それ以外の、項目が、農場HACCP認証基準に適合しているか、についての確認を行いました。


同行した審査員は、2名ともベテランの獣医師で、初審査の私は、お二人に同行して、多くのことを学びました。

 

私は、農場運営のシステムについて、これまでは酪農場しか、経験がありませんでした。

 

大規模な企業養豚農場は、初めての経験でした。

そんなわけで、何から何までが、新鮮でした。

巨大な養豚場の、高度に管理されたシステムや、スタッフのブタ飼いの技術に加え、農場運営に対する意識レベルの高さに、舌を巻きました。

 

経営なので、もちろん生産効率はとても重視します。
資料の整理、データの集約、農場備品の整理整頓など、全員が同じ方向を向いて、極めて効率よく仕事をなさっていました。

生産効率を上げるためには、飼われているブタのストレスもできるだけ、小さくして、ハッピーに育てなくてはなりません。

 

現場に出たときに、ひげ面のいかつい農場長が、母親のおっぱいにむしゃぶりつく子豚たちを見つめていました。

真剣なまなざしに、何か問題でもあったのかと思い、尋ねると、
「いやあ、可愛いから、みてたんですぅ」
という回答!(^^)

こりゃ、ブタも幸せだよなあ。

 

幸せに、愛情を持って育てられたブタ肉を、食べるということは、消費者も、ありがたいことでしょう。

 

現場はやりがいが持てて、ブタはハッピー。

その豚肉はおいしくて、よく売れると、経営が上向き、賃金に反映されて、現場はさらにやる気に燃える。

ポジティブなスパイラルの、ひとつの成功例を、目の当たりにしました。

 

朝の会議から始まり、豚舎での現場確認、再び会議室に戻っての総括を済ませると、夕方でした。

真剣な時間の流れの中で、頭はパンクしそうに疲れましたが、極めて中身の濃い、得がたい経験を積むことができました。

 

豚舎は、外部から病原体を持ち込まないため、私物の持ち込みは一切不可です。
したがって、カメラの持ち込みも、当然×でした。
写真を撮れませんでしたが、強烈なインパクトが、脳裏に焼き付きました。

 

↓大学の牛も幸せです

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