香川県の養鶏場で、鳥インフルエンザに罹患した、ニワトリが見つかりました。
鳥インフルエンザは、正式名称を高病原性鳥インフルエンザといって、
これに罹った家畜のトリ(家禽)は、その病気を発症した鳥だけでなく、その農場に在籍する全てのニワトリを、殺処分することになります。
今回は、香川県の養鶏場で発症し、ニワトリの種類は肉用(ブロイラー)でした。
ヒトのインフルエンザ同様、トリでも伝染性が強いため、農場内で鳥インフルエンザが蔓延してしまうと、近隣の養鶏場にも感染が飛び火し、とんでもない広範囲に病気が広がってしまう恐れがあります。
そうなると、極端な話、日本の鶏卵、鶏肉農場がなくなってしまうかもしれません。
そのため、法律で定められている手順では、
鳥インフルエンザの発症が、確定されたならば、24時間以内でその農場に在籍する全羽を殺し終えなくてはいけません。死んだニワトリについては、引き続き速やかに、焼却処分すると定められています。
今回は1月11日深夜に、鳥インフルであることが確定し、なんとかその24時間後には、その農場のニワトリ全羽を殺処分できたと、日本農業新聞は報じています。
今回の殺されたニワトリ、その数はなんと農場内だけで5万1000羽、関連農場も含めると9万1000羽です。
この作業には獣医師を始め、大勢の人員が動員された模様です。
2010年に発生した宮崎県の口蹄疫、こちらはウシとブタでしたが、そのときも大量の家畜が殺され、埋められました。
今回は9万羽。。。
奪われる命、命を奪う側の命。
現場は、おそらく感傷に浸っている余裕などないでしょう。
殺すことが、ひたすら続く「作業」に、なってしまっているでしょう。
今回の農場は鶏肉用に出荷されるニワトリたちなので、いつかは殺される運命にはありました。そのときが、早かったか遅かったかだけの違い、と言う人もいるかもしれませんが、私にはどうしても割り切れません。
私も畜産業界に籍を置くプロとして、一般消費者の方と比べると、家畜の命に対する心のひだは厚くなっていると思います。ですが、そのような自分を持ってしても、大量の殺処分の報道を見る度に、割り切れない思いが心に刺さりこみます。
人間だってインフルエンザにかかるのだから、その発生をゼロに抑えるのは不可能に違いないと感じます。全頭殺処分は、いかにも日本的な完璧主義ではないかという疑問がぬぐい去れません。
そうはいっても、
全頭殺処分以外に、何か方法はないのかと考え、やはりこれが最もベターな方法なのだろう、と無理矢理納得させる自分がいます。
手塩にかけて育ててきた命を奪われる農家。
作業のように命を奪い続けなくてはいけない獣医師。
そして、理不尽に命に幕を下ろすしかないニワトリ。
インフルエンザはヒトもとりも季節は冬場です。
毎年、この時期になると不安な気持ちになります。